ローコード・ノーコード アプリケーションにより、ソフトウェア開発のコストと労力を削減するには

企業をとりまくビジネス環境の変化が加速し、より柔軟で、迅速な対応が求められる時代になっています。企業のニーズに応え、ITをビジネスの成果に直結させる手段として「ローコード・ノーコード開発」が注目されています。

写真: Diva Plavalaguna　出典: Pexels

ソフトウェア開発は、段階を繰り返しながら製品を成熟させていくプロセスです。この高度なプロセスには、時間とお金がかかります。ソフトウェアは急速に発展や改善していく技術であり、常に修正されなければなりません。そのため、ソフトウェアの開発コストをいかに削減できるかという問題に対して、何度も答えを出さなければなりません。

ローコード・ノーコードアプリケーションやプラットフォームを利用すれば、ソフトウェアの開発コストやメンテナンスコストを削減できます。少ない労力で、より速くアプリケーションソフトウェアを構築できます。既製のソフトウェア製品は必ずしもビジネスニーズを満たしておらず、ビジネス要件に最適化されていないため、必ずしも最適なソリューションではありません。 ローコード・ノーコード を用いれば、より少ない人数の専門スタッフで、より多くの専門知識をもってビジネスをデジタル化できます。

では、ローコード・ノーコードとはどのようなものなのでしょうか。これからローコード・ノーコードの概要やローコード・ノーコードプラットフォームを利用するメリットなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

• ローコード・ノーコードとは
• ローコードとノーコードとの違い
• シチズンデベロッパーによるソフトウェア開発
• DXもビジネスも加速させるローコード・ノーコード開発
• LCNCアプリケーションの使用例
• 既存のLCNCプラットフォームやアプリケーション
• LCNCプラットフォームを利用するメリット
• LCNCアプリケーション開発の将来
• まとめ

ローコード・ノーコードとは

ローコード・ノーコードとは、アプリケーションなどの開発を行う際にコードを書かない、もしくは少ないコードでも開発ができるというものです。

ローコードは従来のようにゼロからプログラミングを行うよりも、圧倒的に少ないプログラムコードでアプリケーション開発ができるというものです。
ノーコードはソースコードの記述を全く行わなくても開発ができるというものです。
ただし、どちらの方向性であっても、将来的にシステムの保守や拡張のためには最低限の経験や専門知識が必要です。では、具体的にどのような違いがあるのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

ローコードとノーコードとの違い

ローコードの手法であっても、ある程度のプログラミングスキルは必要です。自動化できないケースや、ビジネスニーズに対して非常に特殊なソリューションの場合に備えて、ソフトウェアを実装できる人材が必要です。
ノーコードは利用できる機能が限定的でしたが、ローコードは再利用可能なオープンAPIや高い拡張性を持ったアーキテクチャを利用することで、機能を拡張することができます。
さらにオンプレミス環境、クラウド環境にデプロイできる優れた柔軟性を持っており、外部のソフトウェアと統合することもできるため、広範囲なアプリケーション開発に活用できます。
たとえば複雑な権限設定が必要な部署間を跨ぐシステムを開発したい場合は、ローコードが適していると言えるでしょう。

一方、ノーコードの手法はプログラミングの知識がないシチズンデベロッパーを対象としており、抽象度が非常に高いです。
ノーコードの開発を実現するツールは、最初からテンプレートや使える機能が決まっているため、それ以上の機能拡張はできません。そのため、ノーコードは小規模なアプリケーションや、単一機能のシンプルなアプリケーション開発に向いています。
ノーコードを活用するなら、業務部門でのペーパーレス化など、基本的な機能で業務をデジタル化したいケースなどがおすすめだと言えるでしょう。

シチズンデベロッパーによるソフトウェア開発

LCNCアプリケーションを使用することで、ソフトウェア開発がより簡単かつ迅速に行えます。そして、プロのソフトウェア開発者でなくても良いのです。むしろ、組織について多くの専門知識を持ち、ビジネスニーズやどうすればソフトウェアのユーザーに満足してもらえるかを理解する必要があります。

ITの専門家やソフトウェア開発者としての訓練を受けていない人々、すなわちプログラミング言語のスキルを持たないシチズンデベロッパーにアプリケーション開発のためのプラットフォームを提供することがLCNCの狙いです。ビジュアルなユーザーインターフェースにより、何行ものコードを書かなくても、新しいオブジェクトや機能を簡単にソフトウェアに追加できます。

DXもビジネスも加速させるローコード・ノーコード開発

ローコード・ノーコード開発がDXの推進において注目されていることを紹介しましたが、なぜそういわれるのか紐解いていきます。
そもそもDXとは、デジタルトランスフォーメーション（Digital Transformation）の略称で、2004年に、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。
日本におけるDXは、2018年に経済産業省によって再定義されており、DX推進ガイドラインには以下のように記されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。
つまり、ITを活用してビジネスにかかわるすべてをより良くし、企業文化までを変えて取り組むべき覚悟が必要であることを示しています。

いまやDXへの対応は、デジタル競争のなかで企業が存続し発展していくうえで、必ず取り組まなければならない課題であるといえるでしょう。
DXへの取り組みとして、既存のシステムをローコード・ノーコード開発ツールで再構築することで得られるメリットは多く、具体的には、以下が挙げられます。
・レガシーシステムの刷新により、開発が容易になり、市場の変化に応じてビジネスモデルを柔軟・迅速に適応させることができる
・ローコード開発ツールが新技術に対応することで、DXを推進しやすくなる
・システムの保守・管理が容易になり、コスト削減できる
・予算や財源が確保でき、サービスの向上や新規事業を展開できる
古いシステムでは難しかったこと、不可能だったことを実現し、本格的なDXが可能になることから、ローコード・ノーコード開発はDX推進と合わせて言及されているのです。

LCNCアプリケーションの使用例

現在、LCNCの用途として次のようなものが有名です。
・ビジネスプロセスの自動化は、LCNCが最も広く使われているアプリケーションのひとつです。
・WebデザインやWebサイトの開発
・データサイエンティストはこのようなプラットフォームにアクセスし、統計解析を行い、機械学習モデルを作成できます。
・チャットボットや仮想支援システム

既存のLCNCプラットフォームやアプリケーション

この分野では、約370の企業が活動しています。以下はその例です。
・WordPressはWebサイトのデザインに強いです。
・Shopifyは、ショップを構築するためのプラットフォームを提供します。
・Intercom Bubbleは、チャットボットなど、会話体験のためのツールを提供します。
・TIBCO Cloudは、コードを使わずにプロセスの自動化を促進します。
・Bleenco Goはインダストリー4.0ソリューション向けのノーコードAIプラットフォームです。

LCNCプラットフォームを利用するメリット

LCNCプラットフォームで作成されたユーザーアプリケーションは、コードよりもデータを主に含んでいます。アプリケーション開発者は、ビジネスニーズを満たすツールボックスとして、LCNCプラットフォームから必要なパーツやツールを取り出します。

LCNCを使用することで、ソフトウェア開発プロセスの時間を短縮し、労力やコストを削減できます。すぐに使えて適切なソフトウェアモジュールをブラックボックスモジュールとして統合することで、テスト時間と労力を最小限にできるでしょう。開発者は、必要とするアプリケーションの目的に集中できます。アプリケーションの個々のブロックはプラットフォームのプロバイダーによってテスト済みなので、それをテストせずに、アプリケーション全体をテストできるのです。設計、実装、テスト、検証など、すべての開発ステップにおいて時間を節約できます。

さまざまなプログラミング言語のライブラリやパッケージは、ローコードをサポートする主要なものの一つです。ライブラリ関数を使用することで影響度の小さいコードを書かずにすむからです。Pythonプログラミングの経験があれば、1行のコードの影響力がわかるでしょうし、NetworkXやNumPy、Sklearnなどのライブラリやパッケージから機械学習のアルゴリズムを実行できることをもうお分かりでしょう。今の市場でまだ足りないのは、ローコードやモデルベースのPythonプログラミングに向けて、Pythonの経験をほとんど必要としないPythonパッケージを使えるようにするGUI（グラフィック・ユーザー・インターフェース）です。

ノーコードアプリケーションには、アーキテクチャの拡張が難しいなどのデメリットがありますが、ローコードプラットフォームならば必要に応じてスクリプトやコード開発を追加することで、このデメリットを解消できます。また、ローコードでは、現在解決済みのソフトウェアの問題を利用し、将来の機能のためにコードを実装し、あまり労力をかけずに新しい問題を解決できます。

ノーコードソリューションではパフォーマンス最適化の管理が難しく、開発者は使用するツールボックスに依存することになります。ローコードプラットフォームならばこの問題を解決できます。開発者は独自のコードを実装できます。そのコードはすべてのソリューションに対して一般化されていないため、より高速に動作する可能性が高いです。

LCNCアプリケーション開発の将来

LCNCは、すべての業界で、すべてのアプリケーションに対応するソリューションではありません。アプリケーションコードが必要で、既製のツールボックスが見つからないといったユースケースがまだあります。パフォーマンスの最適化、シナリオのバリエーション、または複雑な機能などが、LCNCが支持されない理由かもしれません。
しかし、より多くの企業がオープンソースソフトウェアを使用する傾向にあるようで、これは将来的にLCNCが市場で成長する根拠になるかもしれません。ガートナー社は、今後LCが主流になると予想しています。
複雑性が高まり、問題の解決に必要なアプリケーションがより高度になるにつれて、モデルベースのソフトウェア開発が増加します。LCNCプラットフォームは、GPT-3のCodexのようなコード生成ツールを活用することで、既製のプラットフォームに新しいオブジェクトや機能を動的に追加できます。

まとめ

ITがビジネスを左右する時代の象徴といえる技術であるといっても過言ではないのが、ローコード・ノーコード開発です。DXの導入が進み、システム開発やアプリ開発の効率化によってビジネスがさらに加速することで、企業の差別化が進むことが予想されています。
以上、世界的なトレンドとなりつつあるローコード・ノーコード開発をご検討中の方向けに、システム開発を変えDXを実現する、ローコード・ノーコードアプリ開発のお役立ち情報をまとめました。
また、ローコード・ノーコード開発に関するお困りごとがございましたら、遠慮なくお申し付けください。