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レガシーシステムからの脱却とは?DX推進に向けた課題と解決策
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2026.01.09
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2026.01.09

レガシーシステムからの脱却とは?DX推進に向けた課題と解決策

レガシーシステム脱却を検討している多くの企業が抱える最大の悩みは、
「必要性は理解しているが、どこから手を付けるべきか分からない」
「業務を止めずに本当に移行できるのか」
という不安です。
レガシーシステム脱却は一度に刷新するものではなく、現状を正しく可視化し、段階的に進めることでリスクを抑えながら実現可能です。

そもそもレガシーシステムとは、老朽化した技術だけでなく、属人化・ブラックボックス化した業務や運用体制まで含む複合的な課題を指します。
その結果、システム改修のたびにコストと時間が増大し、新規サービス開発やDX推進の足かせとなっているケースが少なくありません。
「2025年の崖」に代表されるように、放置すれば運用リスクや競争力低下につながる可能性も高まります。

では、レガシーシステム脱却はどのように進めるべきなのでしょうか。
本記事では、企業が直面しやすい課題を整理したうえで、モダナイゼーションやクラウド移行などの代表的な方法、費用感や投資対効果(ROI)の考え方、さらに実際の成功事例までを体系的に解説します。
「自社のシステムは本当に脱却すべき段階なのか」「どの方法が最適なのか」と悩む担当者・経営層の方にとって、本記事は判断の軸と具体的な進め方を得るための実践的なガイドとなるはずです。

目次

レガシーシステムとは何か?なぜ今「脱却」が求められるのか

レガシーシステムとは何か?

レガシーシステム脱却とは、老朽化したシステムそのものだけでなく、属人化した運用、複雑化した業務プロセス、将来の拡張を阻む構造から段階的に抜け出す取り組みを指します。
主な特徴

  • 導入から10年以上経過している
  • ドキュメントや仕様書が不足している
  • 担当者が退職し、保守できる人材がいない
  • 外部連携が困難、セキュリティ面に不安あり

なぜ今「脱却」が求められるのか

これらのシステムは、業務の根幹を担っている一方で、変更・拡張が難しく、DXの足かせとなるケースが多く見られます。このようなケースは、そう遠くない以前に構築したシステムでも、設計がブラックボックス化していたり、担当者への依存が強かったりする場合もレガシーシステムとみなされます。単なる「刷新」ではなく、事業継続性を守りながら変革する点が重要です。

多くの日本企業では、長年の改修の積み重ねによりブラックボックス化が進み、DXや新規サービス開発の足かせとなっています。人材不足やセキュリティ要求の高度化も相まって、今や脱却は経営課題として扱われています。
こうした課題を解決するため、既存の資産を活用しつつ新しい技術でシステムを刷新する「レガシーシステム脱却」が注目されています。

約7割の企業が、老朽システムが、
DXの足かせになっていると感じている

出典: 経済産業省『 D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』

レガシーシステム脱却が進まない3つの課題と放置するリスク

レガシーシステムは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を妨げる大きな要因となり得ます。特に基幹業務を担うレガシーシステムが時代の変化に対応できない場合、企業はデジタル競争で後れを取るリスクが高まります。

経済産業省の『DXレポート』では、レガシーシステムへの対応が適切に行われない場合、DXの実現が阻害されるだけでなく、2025年以降には最大12兆円もの経済損失が生じる可能性があると指摘されています。この課題は「2025年の崖」と呼ばれ、今や後半に知られるものとなった大きな社会問題であり、早急な対応が求められています。

メインフレームなどのレガシーシステムを持つ企業は多く、半数以上が20年以上稼働している基幹システムを抱えています。加えて、2027年末には多くの企業が利用する「SAP ERP 6.0」の標準サポート終了が予定されており、今から2025-2027年にかけては企業システムの大きな転換期となります。

脱却が進まない背景には、技術・組織・コストの複合的な課題があります。レガシーシステムが抱える主な課題は以下のようです。

属人化・ブラックボックス化

長年特定の担当者が運用してきた結果、設計書や仕様書が不足し、システムの全体像を把握できない状態に陥ります。この状況では、わずかな改修でも障害リスクが高まり、結果として「触らない方が安全」という判断が常態化します。

業務停止・データ消失への不安

移行作業に伴う業務停止やデータ欠損への不安は、意思決定を遅らせる大きな要因です。特に基幹システムでは、一時的な停止が売上や顧客満足度に直結するため、慎重になりすぎる傾向があります。

判断材料・説明材料の不足

現行システムの問題点、将来リスク、費用対効果を定量的に示せず、経営層を説得できないケースも多く見られます。その結果、検討自体が先送りされてしまいます。 これらを放置すると、障害発生時の復旧遅延、保守費用の増大、IT人材の離脱など、経営リスクが顕在化します。

既存システムがDXの足かせとなっている理由

出典: 経済産業省『 D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』

失敗しないレガシーシステム脱却の進め方とロードマップ

レガシーシステム脱却には複数のアプローチが存在し、どれが正解かは企業の状況によって異なります。
重要なのは、自社の業務特性や制約条件を踏まえたうえで、現実的な方法を選択することです。

レガシーシステム脱却で最も重要なのは、「短期間で一気に置き換える」という発想を捨てることです。
多くの失敗事例では、影響範囲やリスクを十分に把握しないまま全面刷新を試み、業務停止や想定外のコスト増大を招いています。
成功している企業に共通するのは、現状を正しく把握し、影響の小さい領域から段階的に進めるロードマップを描いている点です。
脱却は単発のプロジェクトではなく、中長期の変革プログラムとして捉える必要があります。

失敗しないレガシーシステム脱却の進め方

現状可視化と優先順位付け

最初のステップは、すべてのシステムを対象にした棚卸しです。
対象には、基幹システムだけでなく、周辺システム、Excelや手作業で補完されている業務も含めます。
そのうえで、以下の観点で整理します。
・業務影響度(止まった場合の影響範囲・金額)
・老朽度(技術スタック、サポート状況、保守性)
・依存関係(他システムとの連携、データの流れ)
これにより、「今すぐ手を付けるべき領域」と「当面は維持しつつ後回しにできる領域」が明確になります。
特に日本企業では「基幹だから最後まで触れない」という判断をしがちですが、影響範囲を可視化することで、段階的に切り出せる部分が見えてくるケースも少なくありません。

段階的移行と並行稼働

優先順位が決まったら、影響の小さい機能や周辺領域から移行を開始します。
既存システムと新システムを一定期間並行稼働させ、データ整合性や業務フローを検証することで、想定外の障害を未然に防ぐことができます。
このフェーズでは、「完璧を目指さない」ことも重要です。
まずは限定的な範囲で成果を出し、社内に成功体験を蓄積することで、次のステップへの合意形成が進みやすくなります。
結果として、全体最適を見据えた脱却が現実的なスピードで進行します。

運用・保守体制の再設計

システムを新しくしても、運用体制が従来のままでは再び属人化が進みます。
そのため、脱却後を見据えて運用ルールや役割分担を再設計することが不可欠です。
具体的には、ドキュメント整備、権限管理の明確化、外部パートナーとの役割分担などを行い、「誰が抜けても回る体制」を構築します。

既存システムの問題点

出典: 経済産業省『 D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』

ここまで見てきたように、レガシーシステム脱却を成功させるためには、
単に「どの手法を選ぶか」だけでなく、どの観点を重視して設計・移行を進めるかが重要になります。
特に日本企業のレガシー刷新では、現行業務の安定性を維持しながら、将来の拡張性を確保する視点が欠かせません。
そのため、多くの成功事例では、以下のような実務レベルでの重要ポイントを押さえながら脱却を進めています。

ポイント1:現行機能・性能を担保したマイグレーション

マイグレーションのアプローチには以下の3種類があります:
・リホスト: インフラのみを刷新し、アプリケーションをそのまま移行する方法
・リビルド: システムをゼロから再構築する方法
・リライト: 既存のアプリケーションを新しい言語やツールで書き直す方法
これらの中で、リライトは安全性が高く、比較的短期間で実現可能です。
そのため、多くの企業で、この方法が採用されています。ただし、この方法でも特にバッチ処理の性能確保が重要となります。現行システムの安定性を維持しながら効率的に移行することが求められます。

ポイント2:データ移行の効率化と正確性の確保

データ移行は、新旧システムを正確に理解し、移行データの内容を確定することから始まります。このプロセスには、以下の工程が含まれます:
・データ加工・変換: 新システムに適合する形にデータを整える作業
・確認作業: データ移行後に正確性を検証する工程
データ移行はシステム刷新全体の約40%を占めると言われており、大量の工数が必要です。そのため、効率的かつ確実な移行手法を計画することが極めて重要です。

ポイント3:システム最大活用のためのデータ連携設計

新しいシステムのポテンシャルを最大限引き出すためには、データ連携の適切な設計が欠かせません。特に、クラウド活用が進む中で、オンプレミス環境とクラウド環境間のデータ連携が重要性を増しています。
データ連携が適切に設計されていない場合、システム全体の効率が低下し、新システムが持つ本来の能力を活用できない可能性があります。
クラウドとオンプレミスの統合を視野に入れ、柔軟で拡張性のあるデータ連携方法を構築することが成功の鍵です。

レガシーシステム脱却にかかる費用・ROIの考え方

レガシーシステム脱却にかかる費用は、「想像以上に高い」と感じられることが少なくありません。
しかし、費用を正しく分解し、ROIの視点で評価すると、必ずしも非現実的な投資ではないことが分かります。
一般的に費用は、①現状調査・可視化、②移行設計、③開発・改修、④データ移行・検証、⑤運用・保守の再設計といったフェーズに分かれます。
特に①と②を軽視すると、後工程で想定外のコストが発生しやすくなります。

重要なのは、初期費用だけで判断しないことです。レガシー環境を維持し続けた場合に発生する、保守費用の増大、障害対応工数、開発スピード低下による機会損失も含めて比較する必要があります。中長期的に見ると、脱却によってITコストの予測性が高まり、事業成長に投資できる余力が生まれるケースも多く見られます。 ROIを評価する際は、「コスト削減」だけでなく、「リスク低減」「事業スピード向上」「人材確保のしやすさ」といった定性的な価値も考慮することが、経営判断において重要です。

レガシーシステム脱却を成功させるための事例とパートナー選び

レガシーシステム脱却は、方法論や技術選定だけで成否が決まるものではありません。
実際には、「どのように進めたか」「誰と進めたか」によって、成果やリスクは大きく変わります。
ここでは、成功企業に共通する事例の特徴と、脱却を左右するパートナー選びのポイントを整理します。

成功企業に学ぶ|レガシーシステム脱却の実践事例と共通点

レガシーシステム脱却に取り組む企業が増える中で、成功している企業には明確な共通点があります。
それは、最新技術の導入や全面刷新を目的にするのではなく、
「業務理解を起点に、段階的かつ現実的に進めている」という点です。

成功事例ではまず、現場業務の流れやデータの入出力、既存システムへの依存関係を丁寧に可視化します。
そのうえで、業務影響の小さい領域や周辺機能から順に切り出し、
既存システムとの並行稼働や検証期間を設けながら移行を進めています。

また、脱却を単なるシステム刷新として捉えるのではなく、
業務・システム・運用を一体で見直す中長期の変革プロジェクトとして設計している点も特徴です。
その結果、切り替え時の混乱を最小限に抑えつつ、
移行後も安定した運用と継続的な改善を実現しています。

失敗を避けるための視点|レガシーシステム脱却におけるパートナー選び

一方で、レガシーシステム脱却が思うように進まなかったケースでは、
最新技術の採用や全面リプレースを優先するあまり、
業務影響の検証や運用体制の再設計が後回しになっている傾向が見られます。
その結果、移行後に想定外のトラブルが発生したり、
新たな属人化や運用負荷を生んでしまうことも少なくありません。

こうした差を生む重要な要因が、パートナー選びです。
レガシーシステム脱却では、開発実績や技術力の高さだけで判断するのではなく、
以下のような観点での見極めが欠かせません。

・業務要件を整理し、システム要件へ落とし込めるか
・影響範囲や移行リスクを分かりやすく説明できるか
・段階的移行や並行稼働を前提とした現実的な計画を設計できるか
・移行後の運用・保守、将来の拡張まで見据えて伴走できるか

特に日本企業では、移行後の安定運用や引き継ぎ体制まで含めた支援が求められることが多く、
短期的な開発パートナーではなく、長期的に信頼できる伴走型のパートナーかどうか
が重要な判断軸となります。

自社と近い業界・規模の事例を確認しながら、
「どの範囲から脱却を始めたのか」
「どの順番で進めたのか」
「どのような体制で運用を引き継いだのか」
を具体的にイメージすることで、現実的で失敗しにくいロードマップを描きやすくなります。

実際の取り組みやプロジェクト例については、
カオピーズの実績一覧
を参考にすると、自社に近いケースを想定しながら検討を進めやすくなるでしょう。

まとめ

レガシーシステムは、長年にわたり企業の基幹業務を支えてきた一方で、 技術の老朽化やブラックボックス化、属人化の進行により、保守コストや改修リスクが年々増大している という課題を抱えています。 これらの問題を放置した場合、業務の柔軟性や開発スピードが低下し、結果として企業競争力の低下につながる可能性があります。 いわゆる「2025年の崖」は、そのリスクを象徴する指標の一つと言えるでしょう。

本記事で見てきたように重要なのは、 短期間での全面刷新を目指すことではなく、自社の業務特性や制約条件を正しく理解したうえで、段階的かつ現実的に進めること です。 現状の可視化、優先順位付け、並行稼働を前提とした移行、そして運用・保守体制の再設計までを一連のプロセスとして捉えることで、 リスクを抑えながら着実な脱却が可能になります。

また、脱却の成否は進め方だけでなく、 誰と進めるかというパートナー選定にも大きく左右されます。 業務理解に基づいた提案力や、移行後まで見据えた支援体制を持つパートナーと連携することで、 DX推進を中長期的な成長につなげることができます。

レガシーシステム脱却は、 単なるIT刷新ではなく、将来の事業基盤を再構築するための経営レベルの取り組み です。 自社にとって最適な進め方を検討し、一歩ずつ着実に取り組むことが、 持続的な競争力強化への近道となるでしょう。

FAQ(よくある質問)

Q1. レガシーシステムとは具体的にどのようなシステムですか?
10年以上前に導入され、古い言語や環境で構築されているシステムです。例としては、COBOLベースの基幹システムや、カスタマイズされすぎてブラックボックス化した業務ツールなどが該当します。カオピーズでは現状調査から支援いたします。
Q2. レガシー脱却にはどのくらいの期間がかかりますか?
システムの規模や複雑さによりますが、PoCを含めた段階的な移行で3ヶ月〜1年程度が一般的です。カオピーズは業務に支障をきたさないスケジュールをご提案します。
Q3. すぐに全面刷新するのが難しい場合、どうすればいいですか?
「段階的モダナイゼーション」や「クラウドリホスト」など、現実的なスモールスタートが可能です。まずは一部業務やサブシステムから着手する方法もございます。ご相談ください。
Q4. セキュリティの観点でもレガシーは問題ですか?
はい、古いシステムは脆弱性対応が遅れているケースが多く、サポート終了によるリスクも存在します。モダナイゼーションによってセキュリティ強化も実現可能です。カオピーズはセキュリティ設計もサポートしています。
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