銀行や証券取引所のように「お金のやり取り」を支える場所では、毎日多くの取引が行われています。たとえば、ATMでの現金引き出し、オンラインでの株式売買など、個人から法人まで幅広い取引が可能です。これらの取引を滞りなく進めるためには、金融システムが不可欠です。
今回は、企業の担当者を対象に、金融システムの基本的な知識から、開発方法に至るまでをわかりやすくご紹介します。導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
金融システムの種類とその役割
金融システムとは、主に次の2つの側面で使われる言葉です。
経済の基盤となる金融市場インフラ
「金融システム」は経済全体を支える「お金の取引を支える仕組み」を意味し、金融市場そのものを指すこともあります。このインフラが安定していなければ、経済全体が揺らぎます。2008年のリーマン・ショックが良い例で、世界規模の金融システムの危機として記憶されています。
金融業界で活用されるアプリやソフトウェア
もう一つの意味は、金融取引を支えるシステムやアプリケーションです。オンラインでの資金取引、銀行の口座管理などに必要不可欠なこれらのシステムは、各金融機関の業務規模に応じた機能が搭載されています。ここでは、金融業界での「アプリ・ソフトウェア」について詳しく解説していきます。
金融システムの種類
金融業界で用いられるシステムには、以下のような種類があります。
金融システムの種類 | 特徴 |
勘定系システム | 銀行などでお金の残高や取引の管理を行うシステムです 高い安定性とセキュリティが求められ、銀行業務を支える重要なインフラとなっています |
営業店システム | 銀行窓口で利用される端末や機器を指します 例えば、現金を扱うキャッシャーや通帳記帳用のプリンタも営業店システムに含まれます |
対外接続系システム | 金融機関と外部のサービスを接続するシステムで、公共料金の支払いやクレジット決済を円滑に行います |
オンライン決済システム | 商品購入時に使われる決済システムで、銀行振込やクレジット決済など多彩な支払い方法に対応します |
暗号資産取引システム | ビットコインなどの暗号資産を扱うための取引システムです 近年のデジタル資産の需要増に伴い開発が進められています |
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一般企業にも利用可能な金融システム
金融システムは、主に銀行、証券会社、保険会社などの金融機関を対象としており、金融業界は日々の業務においてこれらのシステムに依存しています。金融システムエンジニアの仕事には、ATMの大規模なメンテナンス作業や、金融システム全体の管理と運用が含まれます。システムの障害による影響が大きいため、金融システムエンジニアには高度な専門知識と安定した品質が求められます。また、システムの開発や運用内容は、所属する企業や業界によって異なることが特徴です。
一方で、一般企業においても金融システムは導入され、広く活用されています。例えば、会計システムは財務管理に役立ち、オンライン決済システムはEC企業にとって便利です。このように、金融システムは多くの業界で利用されています。
金融システムの開発プロセス
金融システムの開発プロセスは、一般的なシステム開発と類似していますが、特に高度な品質とセキュリティが求められるため、より慎重に進める必要があります。以下は、金融システム開発の主要な手順です:
・要件定義:まず、システムに必要な機能や仕様を明確にし、顧客や関係者と共有します。金融業界特有のセキュリティ基準やコンプライアンスもここで考慮されます。
・外部設計・内部設計:外部設計では、ユーザーの操作やインターフェースを決定します。続いて、内部設計ではシステムの構造やデータベース設計を策定し、システムが求められる動作を確実にする基盤を整えます。
・開発・コーディング:設計が完了すると、開発チームがプログラミングを行います。金融システムの信頼性を確保するため、コーディング規約の遵守やコードのテストが重視されます。
・テスト:ユニットテストや統合テスト、負荷テストなど、さまざまなテストを行ってシステムの品質を検証します。金融システムはエラーが許されないため、入念なテストが必要です。
・リリースと運用:テストに合格したシステムは本番環境へリリースされます。リリース後も、システムのメンテナンスや定期的な更新が求められ、セキュリティの強化も続けて行われます。
・保守と改修:リリース後は運用のサポートや、不具合の修正、新機能の追加などが行われます。金融業界ではシステムの長期的な信頼性が重視されるため、エンジニアは迅速かつ適切に保守対応を行います。
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金融システムの開発には、多岐にわたる技術や高い精度が必要であり、チーム全体の連携が成功の鍵を握ります。
金融システム開発会社の選び方
金融システムの開発を検討する際には、信頼できるシステム開発会社を選ぶことが重要です。
・実績の確認: 金融関連システムの開発実績をヒアリングし、経験や技術力を確認しましょう。特に金融システムに強い企業は、高度な技術と信頼性が期待でき、複雑なシステムにも対応可能です。
・見積もりとコストの比較: 複数の会社から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較することで、予算に合った選択が可能です。提案内容やサービスの質も重要な判断基準です。
・技術力とセキュリティ対策の確認:技術力の評価だけでなく、データ保護や脆弱性管理などのセキュリティ対策も確認しましょう。特に金融システムではセキュリティが重要なため、信頼できる企業を選ぶことが成功への鍵です。
金融システム開発を成功させるには、コスト、サービス内容、信頼性を総合的に評価することが不可欠です。複数の開発会社から情報を集め、最適な選択をすることで、高品質なシステムを構築する第一歩を踏み出せます。
まとめ
まとめとして、金融システムの開発は、業界特有の高い安全性を求められるため、非常に専門性の高いプロセスです。要件定義からリリース後の保守まで一貫した品質管理が必要であり、各フェーズでの慎重な作業がシステムの信頼性を支えています。また、金融業界は常に進化し続けており、新たな技術やセキュリティ対策を導入することも求められます。そのため、システムエンジニアは高度な専門知識と柔軟性を持ち、継続的にスキルを向上させていくことが重要です。
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