ベトナム進出の日系企業が陥りやすい失敗と回避のポイント
株式会社カオピーズは、ベトナムハノイに拠点を置くエンジニア集団。
95%の仕事は日本からのもので占められており、社長・取締役はじめ、多くの経営メンバーがハノイ工科大学出身。
また彼らは日本への留学や就職経験も豊富だ。
カオピーズのホワンさん&フオンさん
日本企業にとってベトナムは、製造業やIT分野を中心に注目され続ける成長市場です。しかし、現地での事業展開にあたっては、文化や価値観の違い、現地特有のビジネス慣習への理解不足などが思わぬ落とし穴となることがあります。
今回は、ベトナム人経営者の視点から、株式会社カオピーズを率いる経営者二人(ホアンさん&フオンさん)から、日系企業が現地で陥りがちな失敗とその回避方法についてご紹介します。
社内の風景、多くのエンジニアが在籍している
よくある失敗①:日本式マネジメントの押し付け
「報連相」を期待しすぎる
日本では当たり前の「報連相(報告・連絡・相談)」も、ベトナムでは必ずしも浸透しているとは限りません。特に若い社員は、自分の意見を上司に伝えることに慣れていない場合が多く、指示待ちになる傾向があります。
対策
オープンな雰囲気作りと定期的な1on1を設け、信頼関係の構築から始めましょう。
よくある失敗②:コミュニケーションの齟齬
「言ったつもり」「分かったつもり」が起きやすい
日系企業は、指示が曖昧になりがちで、現地スタッフは遠慮して「分かりません」と言えないケースが多く見られます。その結果、納期や成果物にズレが生じることも。
対策
ビジュアル資料や業務フローを使った共有、確認のためのリキャップ(要約)の習慣化がおすすめです。
よくある失敗③:ローカルスタッフの離職
評価制度やキャリアパスの欠如
給与や待遇面だけでなく、キャリアアップの見通しやスキルアップの機会が不透明だと、モチベーションが下がり、優秀な人材が離職する原因となります。
対策
ベトナム人スタッフに合わせた公正で透明な評価制度を整備し、成長機会を明確に提示しましょう。
よくある失敗④:契約や管理体制の甘さ
ベトナムでは、文書化やエビデンス管理を徹底しないと、後々のトラブルにつながりやすい傾向があります。
対策
現地の法律や商習慣に精通した信頼できるパートナーと連携し、契約書・管理体制を日本以上に厳密に構築することが重要です。
参考URL: 教えてASEAN
ベトナム人経営者のリアルな声
問:日本から多くの企業がベトナム進出をしていますが、その中で成功する会社、失敗する会社があります。
それぞれの違いはなんでしょうか?
答:一言でいうとベトナムの文化を理解し、スタッフを信頼することが出来ているかどうかだと思います。
残念ながらいくつかの日系企業は、スタッフの個性をあまり見ず、日本人の感覚や考え方で判断している場合が多いように感じます。
「ベトナム人だからずっとチェックしなければならない」と思い込んでいる印象です。
スタッフを理解しようとせず、信頼して任せる体制を作らない。
そういった会社は事業拡大が出来ずに撤退していきます。
また、ベトナムのスタッフは2~3年で転職する前提でキャリアパスを組み立てています。
若い時は比較的給与にこだわらず、勉強し成長できる環境に身を置き将来に備えるのです。
経営側はこれらを踏まえ、ある程度のメンバーが転職することを前提に後任も含めてチームを組み立てていくことが大事だと思います。
また、この中で中核メンバーを確保する努力をしていることです。
ある程度余裕のあるチーム構成をしながら、その中で良い人材に目をかけケアしていく。
こういったことが出来ている企業は、成功するのではないでしょうか。
社内ミーテイング風景
問:退職を前提にしながらもスタッフに理解を深めていくことは、日本企業ではなかなか理解しづらいことかもしれませんね。
答:カオピーズにはカムバックしたスタッフも多く働いています。
短期的に考えずに、少し長い目で考えています。
また、売上よりも技術的にチャレンジする案件にも取り組んでおり、そういった企業姿勢がスタッフにアピールできているのだと思っています。
問:企業姿勢ですね。もっと言うと企業理念的なものでしょうか?
答:そうですね。
企業理念についても、責任者や現地スタッフに深く浸透させることが大事だと考えています。
例えば、日系企業が現地の人を責任者とした結果、日本側の意に反してベトナム風の経営陣や組織になってしまったと聞いたことがあります。
そうなってしまった原因は「企業理念が責任者に深く理解されていなかったから」ではないかと思っています。
企業の理念を知り、ベトナムの習慣を理解した人が責任者になることが理想の形だと思います。
ベトナムのオフィスでは軽食やお菓子を無料で提供しているところが多い
問:ベトナムで成功している企業のポイントですが、人事のこと以外で何かありますか?
答:ベトナムをもっと好きになってもらい、人脈を作ることが大事だと思います。
偉い、偉くないに関わらず、信頼できる人を作ることが大事です。
政治家などのつながりも可能であれば、重要です(笑)
ベトナムでは法律が比較的早く変わるので、そういった情報を得たり、また同業者とのコミュニケーションを密に行い情報交換をすることが求められます。
問:日系企業からカオピーズがよく問い合わせを受ける質問は何かありますか?
答:営業的なことですが、カオピーズ(ベトナム)と仕事をするメリットはなんですか?という質問をされます(笑)
企業アピールはもちろんですが、ベトナムの今の成長率、人材の豊富さ、近年高まる技術力、そして何より日本が好きな人が多いことを説明させていただいています。
問:日系企業にありがちな質問ですね(苦笑)
取締役メンバーとのミーテイングも多いそうだ
問:最後の質問ですが、日系企業との取り組みで良かった点、苦労点などありますか?
答:ベトナム人は比較的大雑把なので、日系企業と取り組むことでキチッとした成果物を出す癖が付き、成長することが出来た点です。
また技術的にも最新の案件にチャレンジさせてもらえることも多いので、そういったことが良かったことだと思っています。
一方、苦労した点はコミュニケーションです。
日本人と同じような話し方(早口だったり)や口頭でのやり取りが多くなると、不明点も多くなるので行き違いが発生しやすくなります。
問:なるほど、確かに相手が日本語を話していると、日本人との仕事だと錯覚してしまい、言い回しなどがラフになる傾向があるかもしれませんね。
答:でも、日本との仕事で会社が大きくなっているので、今後も日本の方を向き、理解を深めて「カオピーズと仕事をして良かった」と思って貰えるよう頑張っていければと思っています。
笑顔が清々しいカオピーズメンバー
お客さんの評判も良く、リピーターも多いというカオピーズ。
スタッフの人事戦略に長け、日本へダイレクトに営業している彼らの今後益々の成長に期待がもてる。
一方、ベトナムに進出している日系企業においては、その人事や人脈作りなど学ぶべき点が多いと感じたインタビューであった。
FAQ:ベトナム進出を検討している日系企業のよくある質問
- Q1. ベトナム人スタッフとの信頼関係を築くコツは?
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業務以外のコミュニケーション(雑談やチームビルディング)を大切にすることで、信頼構築が早まります。また、相手の文化や習慣に敬意を持つ姿勢も重要です。
カオピーズでは、現地とのスムーズな連携支援も行っています。 - Q2. どのような評価制度がベトナムでは好まれますか?
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成果と努力の両方を適切に評価する制度が理想です。具体的なゴール設定やフィードバックの機会を定期的に設けると、社員の満足度が向上します。
人材管理システムの導入もカオピーズで支援可能です。 - Q3. ベトナムでITオフショア開発を行う際の注意点は?
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コミュニケーションの透明性、仕様の明確化、納期管理の徹底が鍵です。現地チームとの距離感を縮める工夫も効果的です。
カオピーズでは、日越バイリンガルBrSEによるプロジェクト支援を提供しています。 - Q4. 法制度や商習慣の違いによるリスクはどう対応すべき?
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契約段階から専門家の助言を受け、トラブルのリスクを最小限にしましょう。現地に強い法務パートナーとの連携も重要です。
カオピーズは信頼できる現地パートナーと協力し、スムーズな事業運営をサポートします。 - Q5. ベトナムに進出する企業に向いているITパートナーの特徴は?
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現地文化と日本の商習慣の両方を理解し、柔軟に対応できる企業が理想です。経験豊富なPMやBrSEの存在もポイントです。
カオピーズは、500件以上の開発実績を活かし、御社のベトナム事業を強力にサポートします。
ベトナム進出やオフショア開発をお考えの企業様へ
株式会社カオピーズは、ベトナム・ハノイを拠点に、10年以上にわたって日系企業様のITパートナーとして伴走してきました。累計500件以上のプロジェクト実績と、90%以上のリピート率を誇り、現地に根差した開発体制と日本式の品質管理を融合させたサービスを提供しています。 https://kaopiz.com/
カオピーズプロモーションビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=V_agtXRavRI
「ベトナムで信頼できるパートナーを探している」
「現地の事情に詳しいIT企業と連携したい」
そんな企業様は、ぜひ一度カオピーズへご相談ください。ブリッジSEによる日本語対応、業界に応じた柔軟な提案力、そして長期的な関係構築を強みとしています。