2021年で 見逃せない ディープラーニングフレームワーク 5選
マシンラーニング(機械学習: ML)の人気が業界で確固たるものになるにつれ、データサイエンスにおけるもうひとつの革新的な研究分野であるディープラーニング(深層学習: DL)が台頭してきました。
ディープラーニングは、マシンラーニングの手法のひとつです。ディープラーニングのユニークな特徴は、それによって得られる正確さと効率性にあります。膨大な量のデータを使って学習を受けたディープラーニングシステムは、人間の脳の認知能力に匹敵する(あるいはそれ以上の)能力を発揮します。
当然のことながら、学習というこの高度な分野に取り組むデータサイエンティストたちは、ディープラーニング用の直感的なフレームワークを数多く開発することに追われました。これらの ディープラーニングフレームワーク は、データサイエンティストやML開発者がディープラーニングモデルをより便利にビルドするためのインターフェースまたはライブラリ/ツールです。ディープラーニングフレームワークの最も優れた点は、基礎となるML/DLアルゴリズムの複雑性に踏み込む必要がないことです。その点は ディープラーニングフレームワーク が対応しています。
それでは、最も人気があり、幅広く使用されている ディープラーニング フレームワーク とそのユニークな特徴を見ていきましょう!
目次
1. TensorFlow
GoogleのオープンソースプラットフォームであるTensorFlowは、マシンラーニングやディープラーニング向けの最も一般的なツールでしょう。TensorFlowはJavaScriptをベースにしており、ML/DLモデルのトレーニングとデプロイを容易にする幅広いツールとコミュニティリソースを備えています。
コアとなるツールによってブラウザ上でモデルをビルドやデプロイできる一方で、TensorFlow Liteを使用すると、モバイルデバイスや組み込みデバイス上でモデルをデプロイできます。また、大規模な生産環境でML/DLモデルをトレーニングやビルド、デプロイしたい場合は、TensorFlow Extendedが適しています。
知っておくべきこと
・JavaScriptやC++、C#、Java、Go、Juliaには数多くの実験的なインターフェースが用意されていますが、TensorFlowを扱う上で最も望ましいプログラミング言語はPythonです。
・TensorFlowは、強力なコンピューティングクラスター上でモデルを実行やデプロイするだけでなく、モバイルプラットフォーム(iOSおよびAndroid)上でもモデルを実行できます。
・TensorFlowには広範囲のコーディングが必要で、静的計算グラフを使用して動作します。そのため、まずグラフを定義してから計算を実行する必要があります。また、モデルのアーキテクチャに変更があった場合には、モデルを再トレーニングしなければなりません。
TensorFlowの長所
・TensorFlowは、DLモデルの開発やディープラーニングアーキテクチャの実験に最適です。
・グラフやSQLテーブル、画像をまとめて入力するなど、データ統合機能に利用されています。
2. PyTorch
PyTorchは、Facebook社が開発したオープンソースのディープラーニングフレームワークです。Torchライブラリをベースにしており、研究のプロトタイピングから本番へのデプロイまでの全プロセスを迅速に処理することを主な目的として設計されています。PyTorchの興味深い点は、Pythonのインターフェース上にC++のフロントエンドを備えていることです。
フロントエンドがモデル開発の中核の場となる一方で、バックエンドの「torch.distributed」は、研究と生産の両方において、スケーラブルな分散トレーニングとパフォーマンスの最適化を促進します。
知っておくべきこと
・PyTorchでは、PDBやPyCharmのような標準的なデバッガーを使用できます。
・動的に更新されるグラフを使用して動作するため、トレーニングのプロセス中にモデルアーキテクチャに必要な変更を加えることができます。
PyTorchの長所
・小規模なプロジェクトやプロトタイプのトレーニング、ビルドおよびデプロイに優れていま。
・自然言語処理やコンピュータビジョンなどのディープラーニングアプリケーションに幅広く利用されています。
3. Keras
もうひとつのオープンソースの ディープラーニング フレームワーク としては、Kerasが挙げられます。この優れたツールは、TensorFlowやTheano、Microsoft Cognitive Toolkit、PlaidMLの上で動作します。
Kerasの強みは、その速度にあります。Kerasにはデータ並列処理のビルトインサポートがあるので、モデルのトレーニング時間を短縮しながら大量のデータを処理できます。また、Pythonで記述されているので非常に使いやすく、拡張性にも優れています。
知っておくべきこと
・Kerasは高水準演算では素晴らしい性能を発揮しますが、低水準演算は得意ではありません。低水準演算では、Kerasは「backend」と呼ばれる別のライブラリを使用します。
・プロトタイピングに関しては、Kerasには限界があります。Kerasで大規模なDLモデルをビルドしようとすると、ユーザー定義関数で対応しなければなりません。この点が、Kerasのコンフィギュアビリティを大きく低下させています。
Kerasの長所
・この分野での活動を始めたばかりの初心者に最適です。簡単に習得でき、シンプルなコンセプトを容易にトレーニングやプロトタイピングできます。
・ディープニューラルネットワークの実験を迅速に行うことができます。
・読みやすく正確なコードを記述できます。
4. MXNet
MXNetはオープンソースのディープラーニングフレームワークで、ディープニューラルネットワークをトレーニングおよびデプロイする目的で設計されています。高いスケーラビリティを備えているため、モデルの高速トレーニングが可能です。柔軟なプログラミングモデルに加えて、C++やPython、Julia、Matlab、JavaScript、Go、R、Scala、Perl、Wolframなど複数のプログラミング言語に対応しています。
知っておくべきこと
・MXNetはポータブルなので、マルチGPUやさまざまなマシンに拡張することができます。
・畳み込みニューラルネットワーク(CNN)や長・短期記憶(LSTM)ネットワークなどの最先端のDLモデルをサポートする、無駄なく柔軟でスケーラブルなディープラーニングフレームワークです。
MXNetの長所
・マルチGPU対応であり、高速なコンテキストスイッチと最適化された演算を実現しています。
・命令型プログラミングと記号プログラミングの両方に対応しているため、開発者は好みのプログラミング手法を選んでディープラーニングモデルをビルドできます。
5. Caffe
Caffeは、マシンラーニングのために開発されたオープンソースのディープラーニングフレームワークです。C++で記述されていて、CaffeのインターフェースはPythonでコーディングされています。コミュニティの開発者の貢献を受けて、Berkeley AI Researchによって開発されました。
このソフトウェアは、ディープラーニングモデルをシームレスに作成できるように、表現力、速度、モジュール性、開放性、完全なコミュニティサポートを考慮して設計されています。
知っておくべきこと
・Caffeの主な目的は、画像のセグメンテーションと分類への指向が強いです。
・Caffeは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の開発やモデリングに適した表現力豊かなアーキテクチャを持ち、GPUとCPU間の動作を透過的かつ容易に切り替えることができます。
・処理が高速です:1日に6,000万枚の画像を処理可能(推論の場合は1枚あたり1ミリ秒、学習の場合は1枚あたり4ミリ秒に相当)にするというプロジェクトの長年の目標でさえも、最近のライブラリの更新によって達成されています。
・Caffeはエッジデプロイに適していますが、抽象的な研究には向いていません。Caffe2は、Facebookのマシンラーニングコミュニティ内で多く利用されています。
Caffeの長所
・Caffeは画像のディープラーニングには非常に適していますが、回帰型ニューラルネットワークやシーケンスモデリングには不向きです。
・Caffeの主な長所のひとつは、急な学習部分を必要とせず、既存のモデルを利用してすぐにディープラーニングの探求を開始できることです。
まとめ
さて、主要なディープラーニングフレームワークすべての詳細がわかったので、あなたは十分な情報に基づいて判断し、自分のプロジェクトに最適なフレームワークを選ぶことができます。
ディープラーニングが登場したことで、全般的にマシンラーニングや人工知能(AI)の実用的な使用例が数多く出てきたのは明白です。ディープラーニングによってタスクを最も簡単な方法で分解して、マシンを非常に効率的に支援できるようになりました。
とは言え、前述のディープラーニングフレームワークのうち、どれがあなたの要件に最適なのでしょうか?その答えはさまざまな要因にもよります。しかし、これから始めようとしている場合は、TensorFlowのようなPythonベースのディープラーニングフレームワークを選ぶことをおすすめします。熟練者の場合は、最適なディープラーニングフレームワークを選ぶ前に、速度やリソース要件、および学習済みモデルの一貫性に基づいた利用法を考慮する必要があります。
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