本記事では、現在市場で広く導入されているクラウド勤怠管理システム10製品を取り上げ、機能・価格・対応規模・無料トライアルの有無まで多角的に比較・評価します。導入を検討しているご担当者様が自社の要件に合った製品を選ぶ際の判断材料としてお役立てください。なお、就業ルール別の選び方や導入前チェックリストについても併せてご紹介します。
クラウド勤怠管理システムとは?
クラウド勤怠管理システムとは、インターネット経由で従業員の出退勤・労働時間・休暇を一元管理できるSaaS型のシステムです。
サーバーの購入や社内へのソフトウェアインストールは不要で、ブラウザやスマートフォンアプリからすぐに利用を開始できます。月額・年額のサブスクリプション料金で提供されるため、初期投資を大幅に抑えながら、法改正への自動対応やセキュリティアップデートを継続的に受けられる点が特徴です。
クラウド勤怠管理システムの主要機能
✓ 打刻・出退勤記録(PCブラウザ・スマホ・ICカード・顔認証など複数打刻に対応)
✓ 労働時間・残業時間の自動集計
✓ 有給・休暇申請と承認ワークフロー
✓ シフト作成・管理
✓ アラート通知(残業超過・有給未取得)
✓ 給与計算システムとの連携
✓ 勤怠レポート・帳票出力
✓ 法改正対応・自動アップデート
クラウド勤怠管理システムの仕組み
クラウド勤怠管理システムは、PCブラウザ・ICカード・顔認証・GPS打刻など複数の打刻方法に対応しており、オフィス勤務・テレワーク・店舗など異なる勤務環境の従業員を同一システムで管理できます。専用サーバーの構築やソフトウェアのインストールは不要で、インターネット環境があればすぐに利用を開始できます。
管理できる主な業務領域は以下のとおりです。
- 出退勤・残業時間のリアルタイム集計と上限アラート
- 有給・休暇申請と承認ワークフローのデジタル化
- シフト作成・勤務形態別の労働時間管理
これらの業務が自動化されることで、月末の手集計や給与計算ソフトへの転記といった定型工数を大幅に削減できます。一方で、正確な勤怠管理を実現するには、従業員が打刻ルールを遵守する運用体制の整備が不可欠です。
クラウド勤怠管理システムを導入するメリットは何ですか?
クラウド勤怠管理システムの導入により得られる主なメリットは、業務効率化・法令コンプライアンス対応・テレワーク対応・コスト最適化・システム連携の5つに整理できます。それぞれの内容を確認します。
- 業務効率化:打刻と同時に労働時間が自動集計され、申請・承認ワークフローもシステム上で完結します。月末の手集計や転記作業を削減し、ヒューマンエラーの排除にも直結します。
- 法改正・労務コンプライアンスへの対応:36協定の上限違反リスクをリアルタイムで検知・通知でき、法改正時のアップデートはベンダー側で自動対応されます。厚生労働省の調査では、監督指導を受けた事業場の44.5%で違法な時間外労働が確認されています(出典:厚生労働省「令和5年度監督指導結果」、2024年)。
- テレワーク・多拠点環境でもリアルタイム管理が可能:GPS打刻・ブラウザ・顔認証など複数の打刻方法に対応し、異なる勤務環境の従業員を同一システムで管理できます。2024年時点でテレワーク導入企業は47.3%に上ります(出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」、2025年)。
- 初期コストを抑えた導入と運用負担の軽減:月額料金のみで利用を開始でき、サーバー管理・セキュリティパッチ・バージョンアップ対応はすべてベンダー側が担います。社内ITリソースをより戦略的な業務へ集中させることが可能です。
- 給与計算・人事システムとのシームレスな連携:主要な給与・人事システムとAPI連携することで、打刻データから給与計算までを自動化し、手入力による転記ミスをゼロにします。
クラウド勤怠管理システムのおすすめ10製品
自社の要件が整理できたら、次は具体的な製品の比較・選定に移ります。ここでは国内で広く導入されているクラウド勤怠管理システム10製品を比較します。以下の価格・機能情報は各製品公式サイトの公開情報に基づくものです。最新情報は各社公式サイトにてご確認ください。
| 製品名 | 特徴 | 料金 | 無料トライアル | 打刻方法 |
|---|---|---|---|---|
| KING OF TIME | 国内トップクラスの導入実績。多様な就業ルール・雇用形態に標準対応。給与計算システムとの連携も豊富 | 月額300円/人〜 | 30日間 | PCブラウザ・スマホアプリ・ICカード・顔認証・指静脈・QRコード(40種類以上) |
| ジョブカン勤怠管理 | 機能をモジュール単位で選択できる柔軟な料金体系。ジョブカンシリーズ(給与・経費・人事)との一元連携が強み | 月額200円/人〜 | 30日間 | PCブラウザ・スマホアプリ・ICカード・Slack/LINE打刻 |
| HRMOS勤怠 | 採用・人事管理と一体化したHRMOSプラットフォームの一部。人事データの一元管理を重視する企業向け | 月額200円/人〜 | あり | PCブラウザ・スマホアプリ・ICカード |
| CLOUZA | 小規模企業向けのシンプル設計。初期設定が容易で、ITリテラシーが高くない現場でも即日運用開始できる | 月額200円/人〜 | 30日間 | スマホアプリ・ICカード・顔認証 |
| マネーフォワード クラウド勤怠 | マネーフォワードの給与・経費・会計との連携でバックオフィス全体を効率化。テレワーク対応のGPS打刻が標準装備 | 月額300円/人〜 | 1ヶ月間 | PCブラウザ・スマホアプリ・GPS打刻・ICカード |
| freee勤怠管理Plus | freee人事労務との完全連携でデータ入力を自動化。中小企業のバックオフィスDXをワンストップで支援 | 月額300円/人〜 | あり | PCブラウザ・スマホアプリ・GPS打刻 |
| ジンジャー勤怠 | 勤怠・給与・労務・人事をジンジャーシリーズで統合管理。中堅〜大企業の複雑な就業形態にも対応 | 要問い合わせ | あり | PCブラウザ・スマホアプリ・ICカード・顔認証・打刻機 |
| COMPANY | 大企業向け人事基幹システムとしての実績が豊富。給与・人事・勤怠を一つのプラットフォームで完結できる | 要問い合わせ | なし | PCブラウザ・ICカード・顔認証・生体認証 |
| TimePro-eX | 製造・流通・サービス業の大規模企業に強い。複雑な就業ルール・多拠点・多雇用形態への高いカスタマイズ性 | 要問い合わせ | あり | PCブラウザ・スマホアプリ・ICカード・顔認証・指静脈 |
| バクラク勤怠 | バクラクシリーズ(経費・請求・契約)との連携でバックオフィス全体を自動化。UIのシンプルさと操作性が高評価 | 月額400円/人〜 | あり | PCブラウザ・スマホアプリ |
クラウド勤怠管理システム比較10選(2026年版)。価格・機能は各製品公式サイトをご確認ください。
10製品の中から、企業規模別に特に適性が高いと当社が評価する3製品をご紹介します。中小企業・中堅企業・大企業のそれぞれの特性に合わせて選定していますので、比較検討の出発点としてご活用ください。
中小企業向け: KING OF TIME
KING OF TIME(株式会社ヒューマンテクノロジーズ)は、国内導入実績が豊富なクラウド勤怠管理システムの代表格です。PCブラウザ・スマートフォン・ICカード・顔認証など40種類以上の打刻方法に対応しており、さまざまな勤務環境に柔軟に対応できます。フレックスタイム制・シフト制・変形労働時間制など多様な就業ルールにも標準機能で対応しており、中小企業から大企業まで幅広く活用されています。
- 向いている企業: 打刻環境が多様で、低コストかつ豊富な機能を求める中小〜中堅企業
- 価格帯: 月額300円/人〜(公式サイト参照)
中堅企業向け: ジョブカン勤怠管理
ジョブカン勤怠管理(株式会社DONUTS)は、シフト管理・工数管理・休暇管理など必要な機能をモジュール単位で選択できる柔軟な料金体系が特徴です。ジョブカンシリーズの給与計算・人事管理・経費精算との連携もスムーズで、バックオフィス業務を一元管理したい中堅企業に適しています。30日間の無料トライアルが用意されており、導入前の機能検証がしやすい点も評価されています。
- 向いている企業: バックオフィス業務をジョブカンシリーズで統一したい中堅企業
- 価格帯: 月額200円/人〜(公式サイト参照)
大企業向け: TimePro-eX
TimePro-eX(株式会社テクノルア)は、製造業・流通業・サービス業など多様な業種の大規模企業での導入実績を持つ勤怠管理システムです。複雑な就業ルール・複数拠点・多様な雇用形態が混在する大企業の要件に対応できる高いカスタマイズ性を備えており、既存の基幹システムやERPとの連携実績も豊富です。セキュリティ要件・内部統制対応・監査ログ管理など、大企業特有のガバナンス要件にも対応しています。
- 向いている企業: 複雑な就業ルールと厳格なセキュリティ要件を持つ中堅〜大企業
- 価格帯: 要問い合わせ(公式サイト参照)
「比較表を見たが、自社に合うものがどれかわからない」方へ
業務要件・予算・社内体制をもとに、最適なツールの絞り込みをサポートします。特定のベンダーに偏らない中立的なアドバイスが可能です。
自社に合うシステムを相談する →自社に合ったシステムはどう選べばよいか?
クラウド勤怠管理システムは製品数が多く、機能・価格・対応規模もさまざまです。製品比較の前に、企業規模・就業ルール・打刻方法の3つの軸で自社の要件を整理することで、候補製品を効率よく絞り込むことができます。
クラウド勤怠管理システム選定の3軸フレームワーク
1. 企業規模で候補を絞る
企業規模によって、勤怠管理システムに求める要件は大きく異なります。規模ごとの目安を以下に整理します。
- 中小企業(〜300名):操作のシンプルさ・低コスト・導入後のサポート体制を優先します。担当者がITに不慣れなケースも多いため、直感的なUIと手厚いオンボーディングが選定のポイントです。
- 中堅企業(300〜1,000名):フレックスタイム・シフト制など多様な就業形態への対応力と、給与・人事システムとの連携機能が重要になります。
- 大企業(1,000名〜):カスタマイズ性・セキュリティ要件・内部統制への対応が必須です。シングルサインオン(SSO)や監査ログ機能の有無も確認ポイントとなります。
2. 自社の就業ルールに対応しているか
就業ルールへの対応範囲は、製品選定において見落とされがちな重要項目です。以下の4項目を自社の実態と照らし合わせて確認します。
- フレックスタイム制を採用しているか
- シフト制・変形労働時間制があるか
- 管理監督者など特別な扱いが必要な従業員がいるか
- 複数の雇用形態(正社員・パート・派遣)が混在しているか
上記に該当する項目が多いほど、対応範囲の広いシステムを選ぶ必要があります。導入後に「自社のルールに対応できなかった」というミスマッチを防ぐために、デモ・トライアル時に就業ルールの再現テストを必ず実施することを推奨します。
働き方改革以降、フレックスタイム制や変形労働時間制を導入する企業は着実に増加しており、多様な就業形態に柔軟に対応できるシステムの重要性は高まり続けています。就業ルールが複雑になるほど、製品選定時の対応確認が導入成否を左右します。
3. 打刻方法は現場の実態に合っているか
打刻方法の選択は、従業員の勤務スタイルに直接影響するため、現場の実態に合った方式を選ぶことが定着率向上の鍵となります。勤務環境ごとの推奨打刻方法は以下のとおりです。
- PCで作業する社員が多い → ブラウザ・アプリ打刻
- 外出・テレワークが多い → GPS付きスマホ打刻
- 工場・店舗など現場作業員が多い → ICカード・顔認証打刻
- 複数の勤務環境が混在する → 複数打刻方法に対応したシステムを選ぶ
打刻方法が現場の実態に合っていない場合、打刻忘れや不正打刻のリスクが高まり、せっかく導入したシステムの効果が半減します。製品選定時には、自社の勤務環境に対応した打刻オプションが標準機能として含まれているかを必ず確認します。
導入前に確認すべき5つのチェックリスト
クラウド勤怠管理システムの導入を成功させるには、ベンダー選定・契約前の段階で確認すべき項目を押さえておくことが重要です。就業ルールへの対応可否・既存システムとの連携・法改正対応・サポート体制など、見落としがちな5項目を以下にまとめました。
導入前チェックリスト
① 自社のすべての就業ルールをシステムが処理できるか
フレックス・シフト・変形労働時間制など、自社固有のルールをトライアルで必ず再現テストしてください。
② 既存の給与・人事システムとAPI連携できるか
連携可否だけでなく、追加費用・開発工数・データ形式も事前に確認することで想定外のコストを防げます。
③ 従業員数の増減に応じたプランの柔軟性はあるか
増員・減員・季節雇用が生じた際に料金プランを柔軟に変更できるか、月単位での調整可否を確認します。
④ 法改正時のアップデート対応はどうなっているか
対応時期・追加費用の有無をベンダーに明示してもらい、コンプライアンスリスクの見落としを防ぎます。
⑤ サポート体制(電話・チャット・オンボーディング)は十分か
対応時間・言語・担当者制の有無を確認し、導入直後の定着期に迅速なサポートが受けられるか見極めます。
まとめ
クラウド勤怠管理システムの選定では、企業規模・就業ルール・打刻方法の3軸で要件を整理したうえで、各製品のトライアルを通じて自社との適合性を検証することが重要です。導入後の定着を左右するのは製品選びだけでなく、就業ルールの棚卸しと既存システムとの連携設計を事前に完了させているかどうかです。
自社の現状に合った最適なアプローチを選ぶことが、導入後の定着と効果につながります。「どの製品が自社の就業ルールに対応しているか判断できない」「標準ツールとカスタム開発のどちらが適切か相談したい」といった場合は、ぜひカオピーズにご相談ください。1,000件以上のプロジェクト実績と12年以上の日本市場経験をもとに、要件整理から最適解の提案まで、導入前の段階からサポートいたします。
勤怠管理システムの導入・カスタマイズ開発のご相談はカオピーズへ
パッケージツールでは対応できない業務要件をお持ちの場合も、
要件定義から開発・保守まで一貫してサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 勤怠管理システムは自社開発と外部委託のどちらが適していますか?
標準のクラウド製品で自社の就業ルールをカバーできる場合は、導入コストと運用負担の観点からクラウド型SaaSの活用が合理的な選択です。一方、複数の雇用形態・複雑なシフトルール・既存基幹システムとの深い連携が必要な場合は、標準製品では対応しきれないケースがあります。そのような場合は、要件に合わせたカスタム開発または既存システムへのアドオン開発を外部のITパートナーに委託することで、自社の業務フローに完全に適合したシステムを構築できます。内製開発はエンジニアリソースと長期的な保守コストの負担が大きいため、特に専任のIT部門がない企業では外部委託が現実的なアプローチといえます。
Q2. クラウド勤怠管理システムはインターネットが使えない環境でも使えますか?
基本的にクラウド型システムはインターネット接続を前提とするため、完全オフライン環境での利用には対応していない製品が大半です。工場や地下施設など通信環境が不安定な現場では、ICカード打刻専用端末(スタンドアロン型)との組み合わせ、またはオフライン対応の有無を製品選定時の必須要件として確認することを推奨します。
Q3. 海外拠点・外国籍従業員がいる企業でも利用できますか?
多言語対応(英語・中国語・ベトナム語など)の管理画面や打刻インターフェースを提供している製品は存在しますが、対応言語の種類や範囲は製品によって大きく異なります。海外拠点の従業員を管理する場合は、タイムゾーン設定・現地の労働法規への対応・データ保管場所のコンプライアンス要件も確認が必要です。グローバル対応を重視する場合は、多言語・多タイムゾーン対応を選定要件として明示したうえでベンダーに確認することを推奨します。
Q4. クラウド勤怠管理システムのセキュリティはどのように確保されていますか?
主要なクラウド勤怠管理システムは、通信の暗号化(SSL/TLS)・データセンターの冗長化・アクセス権限管理・操作ログの記録といった基本的なセキュリティ対策を標準装備しています。ISMSやプライバシーマーク(Pマーク)の認証取得状況も、ベンダーの情報管理体制を評価する重要な指標です。大企業での導入においては、シングルサインオン(SSO)対応・IPアドレス制限・多要素認証(MFA)といった高度なセキュリティ機能の有無も合わせて確認することを推奨します。
Q5. 既存の紙・Excelによる勤怠管理からの移行はどのように進めますか?
紙・Excelからの移行では、過去の勤怠データをシステムに取り込む「データ移行」と、従業員の打刻習慣を変える「運用変更」の2つを並行して進める必要があります。CSVインポート機能を持つ製品であれば既存Excelデータをそのまま活用できるケースが多く、移行コストを抑えられます。全社一斉切り替えではなく部門単位での段階的な移行が、現場の混乱を最小化するうえで有効なアプローチです。
参考文献
- 総務省. (2025). 「令和6年 通信利用動向調査(企業編)」.
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202400_002.pdf - 総務省. (2025). 「令和7年版 情報通信白書」.
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd21b220.html - 厚生労働省. (2024). 「長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41656.html
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