労働基準法で定められているため、企業は全ての従業員に対して、勤怠管理しなければなりません。出勤や退勤の時刻はもちろん、年休の取得状況や残業時間など管理すべき内容は多岐にわたります。法律が改正されることもあるため、システム化して、全従業員に展開しているケースが多いでしょう。
勤怠管理システムの導入方法はいくつも考えられますが、その中でも注目されている方法はクラウド上に構築するものです。近年は多くのシステムがクラウド化され、勤怠管理についても例外ではありません。今回は、クラウドによる勤怠管理について解説します。
目次
クラウドでの勤怠管理とは
一般的にクラウドでの勤怠管理とは、クラウド環境に専用システムを構築することを指します。システムを構築する環境は、主にオンプレミスとクラウドに分類でき、このうちクラウドに構築する場合を「クラウドでの勤怠管理」と呼ぶのです。定義としては言葉の意味そのままであり、難しい概念ではないでしょう。
ただし、ここで注意しておきたい点は、クラウドでの構築にも2種類あることです。多くの場合、クラウド勤怠システムと表現するならば、クラウドサービス事業者が提供しているサービス全体を指します。
あらかじめ勤怠管理に必要な機能がすべて開発され、それをサービスとして利用するものです。月額費用などを支払って、勤怠管理する場合は、これに該当すると考えてよいでしょう。
それに対して、利用者が独自にAWSやGCP、Azureなどのクラウドベンダーと契約する方法もあります。これはオンプレミスと対をなすもので、自分たちで開発したアプリケーションをクラウドに配置する方法です。あらかじめ開発されたサービスを利用するのではなく、自分たちの要望に沿ったシステム開発を進め、それをリリースするとイメージすれば良いでしょう。
また、このときの注意点として「クラウド環境を自分たちで運用する」ということが挙げられます。サービスとして、勤怠管理システムを利用する場合は意識する必要がないですが、この部分を考慮しなければなりません。
※参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
クラウド勤怠管理の機能やメリット
続いては、勤怠管理をクラウドで実施する場合、どのようなメリットがあるのかについて解説します。
勤務時間を正確に把握できる
クラウド環境に勤怠管理システムを構築することによって、勤務時間を正確に把握できます。システム化することによって、データの改ざんなどが難しくなり、出勤時刻と退勤時刻を把握しやすくなるのです。また、有給を消化しているかどうかや、休日出勤の状況なども素早く把握できるようになります。
企業として、労働者の勤務状況を正確に把握する作業は非常に重要なものです。そのため、クラウドの勤怠管理システムを導入すれば、重要な業務をより確実にこなせるようになります。また、状況を正確に把握できるため、残業時間の把握や休日出勤手当の算出などの計算作業にも誤りが生じません。
これらに誤りがあると、労働基準監督署から指摘される可能性がありますが、そのような状況を回避できるのです。労働時間の正確な把握だけではなく、それに付随するメリットもあると考えましょう。
承認作業が効率化される
勤怠管理システムをクラウドで導入すれば、各種申請や承認作業をリアルタイムで処理できます。承認作業が滞ってしまう状況を避けやすく、業務の効率化に繋がるでしょう。特に今までファイルや紙媒体でやり取りしていたならば、クラウドに置き換えることで大きな効果を感じられるはずです。
また、システム化しておくことによって、データを紛失するなどの状況を防げます。例えば、紙の紛失やファイルの破損などを防げるのです。意外にも、このようなトラブルは生じやすいため、クラウド上にデータを保存しておくことにはメリットがあるでしょう。
幅広い媒体で利用できる
一般的に、クラウド上のシステムは幅広い場所からアクセスできます。社内からのアクセスはもちろん、リモートワークでの自宅、顧客先など外出先からも利用が可能です。そのため、どのような状況でも勤怠管理を実現できることがメリットといえるでしょう。また、上記で解説したような申請作業や承認作業も、社外で対応できるようになるのです。
特に、クラウド上に構築することによって、社内ネットワーク以外からもアクセスできることはメリットでしょう。今でもシステムを導入している企業はあると思われますが、社内ネットワークに限られているケースが多く見受けられます。これでは、リモートワークや客先から、勤怠に関する情報登録ができません。しかし、クラウドに置き換えれば、社内ネットワークに接続できない環境からでも操作できます。
労務管理の電子化にも役立つ
勤怠管理をクラウドシステムにすれば、労務管理の電子化にも役立ちます。労務管理とは、勤怠管理を含めた賃金の管理や社会保険関係など従業員全般に関わる業務です。これらの業務を電子化するためには、元となるデータである勤務状況も電子化する必要があるため、クラウドでシステム化すれば全てまとめて電子化できます。
もちろん、労務管理管理外の部分は別のシステムを導入しなければなりません。とはいえ、全体の電子化に大きく役立つはずです。近年はDXが推進されているため、その観点からも電子化は大きなメリットでしょう。
※関連記事:シフト管理はシステム化すべき?導入のメリットや開発のポイントを解説
自社に最適なクラウド管理勤怠システムの選び方
クラウド勤怠管理システムといえども、様々な製品が存在します。どのようなものを選び、導入すれば良いのかについて、続いては解説します。
雇用形態に対応しているか
最初に意識しなければならない点は、現在の雇用形態に対応したシステムであるかどうかです。一般的な正社員とアルバイトだけなら問題ないかもしれませんが、社員に種類があったり、勤務時間に違いがあったりすると、複雑化してしまいます。クラウド勤怠管理サービスによっては、このような複雑さに対応していません。そのため、事前に注意したほうが良いでしょう。
もし、複雑な雇用形態を含むのであれば、事前に洗い出しておいて、そのような要望にマッチするクラウド管理システムを採用したり開発したりしなければなりません。複雑であればあるほど、既存の製品は難しく自分たちの要望を踏まえて開発した方が良いと考えられます。
既存システムとの連携できるか
何かしら既存のシステムと連携する必要があるならば、その点も考慮しましょう。例えば、クラウド勤怠管理システムで、計算した結果を支払いシステムに連携することが考えられます。データの連携インターフェースは、個別に開発できるケースとそうではないケースがあるため、状況によっては連携部分をシステム開発しなければなりません。
そのような状況に陥るぐらいならば、最初から全体の要望を踏まえて、勤怠管理システムをスクラッチすることも検討してみましょう。部分的に連携などを開発すると、システムを運用する効率が悪くなるケースがあるため、場合によっては全て開発した方が良いのです。
スマートフォンやタブレットに対応しているか
クラウドで勤怠管理システムを導入するからには、スマートフォンやタブレットへ対応していることが必須です。社外からアクセスする可能性が高いため、これらのデバイスで利用しやすいものを選択しましょう。例えばスマートフォンでは、画面が小さく全体を把握できないアプリケーションは望ましくありません。
近年は多様なデバイスに対応するアプリケーションが当たり前になっていますが、その方針はさまざまです。何かしらこだわりがある場合は、それに沿ったクラウド勤怠サービスを選んだりシステム開発したりしましょう。
自由なカスタマイズに対応しているか
勤怠管理システムの内容をカスタマイズできるかどうかに注目しておきましょう。多くの場合、勤怠管理システムには、それぞれの企業独自の運用フローが求められます。基本的な部分はどこでも概ね同じですが、細かな部分に配慮しなければなりません。そのような要望を叶えてくれるカスタマイズができるかどうかは非常に重要です。
クラウドサービスとして完成している場合、このようなカスタマイズに対応してもらえないかもしれません。逆に、自分たちでシステム開発すれば、クラウド上にカスタマイズしたアプリケーションを配置できます。また、継続的なカスタマイズにも対応できるため、この点も重要な選び方であるといえるでしょう。
※参考:勤怠管理とは?Excelから脱却しシステムを導入するメリットや注意点を解説
まとめ
勤怠管理システムは、クラウドで導入するべきであり、既存の製品ではなくシステム開発することをおすすめします。システム開発によって、自分たちに最適な勤怠管理システムがクラウド上で手に入ると考えましょう。開発済みのサービス活用やパッケージ導入も悪くはありませんが、要望を叶えるためには必要なものを開発すべきです。ヒアリングを踏まえて最適なシステム開発してもらいましょう。
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