近年、システム障害による事業損失リスクへの認識が高まり、社内の監視体制の構築・強化を検討する企業が増えています。なかでも、ネットワーク監視ツールの導入は、障害の予兆検知と早期対応を実現し、運用担当者の負荷を軽減する有効な手段として注目されています。本記事ではおすすめ15製品の比較を中心に、自社のシステム規模と運用体制に合ったツール選定のポイントを解説します。
ネットワーク監視ツールとは?
ネットワーク監視ツールとは、社内ネットワークを構成するサーバー・ネットワーク機器・アプリケーションの稼働状態や通信状況をリアルタイムで把握し、障害を早期に検知・通知するためのソフトウェアです。ネットワークに異常が発生した場合、業務システムの停止やデータ通信の遅延を引き起こし、事業継続に直接影響が及ぶリスクがあります。
総務省「令和7年版情報通信白書」(2025年)によると2024年には80.6%の企業がクラウドサービスを利用しており、こうしたIT基盤の拡大を背景に、ネットワーク監視ツールの導入と継続的な監視体制の整備は、多くの企業にとって喫緊の課題となっています(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」、2025年7月)。
ネットワーク監視でできること
ネットワーク監視ツールを導入することで、IT担当者はネットワーク全体の状態を一元的に可視化し、問題の予兆を早期に察知できるようになります。主な監視機能は以下のとおりです。
- 死活監視: サーバーやネットワーク機器が正常に稼働しているかをリアルタイムで確認し、応答が途絶えた際に即時アラートを発報する
- トラフィック監視: ネットワーク回線の帯域使用率や通信量の推移を継続的に記録し、混雑・遅延の発生箇所を特定する
- リソース監視: CPU使用率・メモリ使用量・ディスク残量などのシステムリソースを継続測定し、キャパシティ超過の予兆を検知する
- 障害予兆検知とアラート通知: 設定した閾値を超過した時点でメール・Slackなど指定チャネルへ自動通知し、担当者が迅速に初動対応できる環境を整える
死活監視・トラフィック監視・リソース監視・アラート通知の4機能を組み合わせることで、問題が深刻化する前に対処できる運用体制が実現します。一方で、適切なツールは監視対象の範囲やシステム環境・運用体制によって異なるため、次セクションでは導入形態別に選定基準を整理します。
ネットワーク監視の仕組み
ネットワーク監視ツールがどのようにデータを収集・分析するかを理解しておくことは、ツール選定の判断精度を高めるうえで役立ちます。監視の仕組みは大きくエージェント監視とエージェントレス監視の2方式に分類されます。それぞれ収集できる情報の粒度や対応できる機器の種類が異なるため、自社の環境構成に照らし合わせて特性を把握しておきましょう。
エージェント監視
エージェント監視とは、監視対象のサーバーや端末に専用ソフトウェアをインストールし、収集したデータを監視サーバーへ送信する方式です。CPU使用率・プロセス稼働状況・ディスクI/Oなど詳細なリソース情報を取得できる反面、ネットワーク専用機器には適用できず、導入前にリソース消費への影響を検証しておく必要があります。
エージェントレス監視
エージェントレス監視とは、SNMP・NetFlow・WMI・SSHなどの標準プロトコルで対象機器に定期ポーリングしデータを収集する方式です。インストール不要のためスイッチ・ルーター・FWを含む幅広い機器を一括監視できますが、取得できる情報はプロトコル仕様に依存するためプロセスレベルの詳細取得はエージェント監視に劣ります。
ManageEngineやZabbixなど主要ツールは両方式に対応しており、環境に応じて使い分けが可能です。
図1: エージェント監視とエージェントレス監視の方式比較
ネットワーク監視ツールの種類
ネットワーク監視ツールは、導入形態によってオンプレミス商用型・SaaS型・OSS・無料型・アプライアンス型の4種類に分類されます。ツールごとの機能差だけでなく、導入形態の違いがコスト・運用負荷・セキュリティ要件に直結するため、製品比較の前に自社の環境がどの形態に適しているかを確認してください。
| 導入形態 | 主な特徴 | 向いているケース | コスト感 | 運用難易度 |
|---|---|---|---|---|
| オンプレミス商用型 | 自社サーバー運用・公式サポートあり | セキュリティ要件が厳しい中堅〜大手企業 | 初期費用高め | 中 |
| SaaS型 | ブラウザ利用・サーバー不要 | クラウド環境・IT部門が小規模な企業 | 月額・年額課金 | 低 |
| OSS・無料型 | 無償・高いカスタマイズ性 | 技術力のある内製チーム・PoC用途 | ライセンス無料(運用人件費あり) | 高 |
| アプライアンス型 | 専用ハードウェア一体型・即時稼働 | 大規模ネットワーク・特定ベンダー環境 | 初期費用高め | 低〜中 |
表1: ネットワーク監視ツール導入形態別 特徴比較
各形態の特徴と向いているケースを以下で詳しく解説します。
1. オンプレミス商用型
オンプレミス商用型とは、自社サーバー上にソフトウェアをインストールして運用する、ライセンス購入型の監視ツールです。データが社外に出ないためセキュリティポリシーの厳しい環境に適しており、ベンダーによる公式サポートや保守契約が得られる点も特長です。
一方で、ライセンス費用・サーバー調達費用・初期構築費が発生するため、SaaS型と比較して初期投資が大きくなる点に留意が必要です。バージョンアップや構成変更は自社のIT担当者が担当します。
2. SaaS型
SaaS型ネットワーク監視ツールとは、ブラウザからアクセスして利用するクラウド型の監視サービスです。サーバーの調達・構築が不要なため導入までの期間を短縮でき、月額・年額のサブスクリプション費用のみで利用を開始できます。
クラウド・ハイブリッド環境との親和性が高く、IT部門のリソースが限られている企業にも導入しやすい選択肢です。ただし、監視データが外部クラウドに送信されるため、自社のセキュリティポリシーとの整合性を事前に確認する必要があります。
3. OSS・無料型
OSS(オープンソース)・無料型とは、ソースコードが公開されており、無償で利用・カスタマイズできる監視ツールです。ライセンスコストが発生しないため導入時の費用を抑えられるうえ、豊富なプラグインやコミュニティの知見を活用できます。
ただし、導入・設定・運用には一定の技術スキルが必要であり、商用サポートがない点を考慮したうえで採用を検討することが求められます。なお、OSSであることは品質の低さを意味するわけではなく、ZabbixやNagiosのようにエンタープライズ規模での採用実績を持つツールも多数存在します。
4. アプライアンス型
アプライアンス型とは、ハードウェアとソフトウェアが一体化した専用機器として提供される監視ツールです。OSやミドルウェアの設定が不要で、機器を導入すれば即座に稼働できる手軽さが特長です。
大規模なネットワーク環境やCiscoなど特定ベンダー機器に最適化された環境での導入実績が多く、高い安定性が求められるシステムに向いています。初期コストは高めになる傾向があり、ハードウェアの更新サイクルも考慮した総所有コスト(TCO)の算出が必要です。
【比較】おすすめネットワーク監視ツール15選
各ツールには主な強み・価格・対応プロトコルと向いている企業像を記載していますので、自社環境に近いケースを参照しながらご活用ください。
1. オンプレミス商用型ツール(4選)
オンプレミス商用型は、自社サーバーへの導入と手厚いベンダーサポートを両立したい企業に向いています。セキュリティ要件が厳しい環境や、社内IT運用体制が整備されている中堅〜大手企業での採用事例が多い形態です。
1. ManageEngine OpManager
国内導入ライセンス数が3,100を突破しており(出典:ManageEngine公式、参照2025年)、豊富なデバイステンプレートを活用することで最短10分での監視開始が可能なオンプレミス商用型ツールです。GUIベースの操作性が高く、専任のネットワークエンジニアがいない環境でも導入・運用しやすい設計となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・導入スピードと豊富なデバイステンプレートによる迅速な監視開始 ・GUI操作で完結するため、プログラミングスキルが不要 |
| 価格 | 年間16.8万円〜 |
| 導入形態 | オンプレミス商用 |
| 対応プロトコル | SNMP / NetFlow / WMI / REST API |
表2: ManageEngine OpManager 仕様
向いている企業: 国内実績・日本語サポートを重視する中小〜中堅企業や、ネットワーク専任担当がおらずGUI操作で運用を完結させたい情シス担当者に適しています。
2. PRTG Network Monitor
Paessler社が提供するセンサー単位の課金モデルが特徴のオンプレミス商用ツールで、100センサーまで無料で試用できます。監視項目ごとにセンサーを組み合わせる柔軟な設計により、大規模環境でも細かな監視設定が可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・センサー単位で監視項目を柔軟に組み合わせられる設計 ・豊富なダッシュボード・レポート機能による運用可視化 |
| 価格 | 100センサーまで無料、有料版は要問い合わせ |
| 導入形態 | オンプレミス商用(クラウド版あり) |
| 対応プロトコル | SNMP / NetFlow / WMI / REST / Packet Sniffer |
表3: PRTG Network Monitor 仕様
向いている企業: 監視対象が多岐にわたる中規模以上の企業や、まず無料で試してから本番導入を判断したい企業に適しています。
3. WhatsUp Gold
Progress Software社製のオンプレミス商用ツールで、ネットワークトポロジの自動検出・可視化マップ機能に強みを持つ製品です。サードパーティ製品との豊富な連携オプションにより、既存の運用ツールと組み合わせた柔軟な環境構築が可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・ネットワークトポロジの自動検出・可視化マップ機能 ・豊富なサードパーティ連携による既存環境との柔軟な統合 |
| 価格 | 要問い合わせ |
| 導入形態 | オンプレミス商用 |
| 対応プロトコル | SNMP / WMI / SSH / NetFlow |
表4: WhatsUp Gold 仕様
向いている企業: ネットワーク構成の可視化・マッピングを重視する中堅〜大手企業や、拠点間ネットワークの全体像を一元管理したいIT担当者に適しています。
4. Hinemos
NTTデータが開発したOSSをベースに商用サポート版も提供している国産ツールで、日本語ドキュメントの充実度が高い点が特長です。ジョブ管理と監視を同一プラットフォームで統合管理できるため、運用自動化を進めたい環境に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・日本語ドキュメント・サポートが充実した国産ツール ・ジョブ管理とネットワーク監視を単一プラットフォームで統合管理 |
| 価格 | OSS版無料、商用サポート版は要問い合わせ |
| 導入形態 | オンプレミス商用(OSS版あり) |
| 対応プロトコル | SNMP / エージェント監視 |
表5: Hinemos 仕様
向いている企業: 国産ツールを優先したい企業や、ジョブスケジューリングとネットワーク監視を一元化してIT運用の標準化を進めたい情シス担当者に適しています。
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監視サービスの導入事例を見る →2. SaaS型ツール(4選)
SaaS型はサーバー調達・構築が不要で、サブスクリプション契約のみで監視環境を素早く立ち上げられます。クラウド・ハイブリッド環境との親和性が高く、IT部門のリソースが限られている企業やDevOps体制を採用している開発チームが選択する場面が増えています。
5. Datadog
クラウドネイティブ・コンテナ環境の監視に強みを持つグローバルSaaSプラットフォームで、APM・ログ・インフラ監視を単一ダッシュボードに統合できます。400以上のインテグレーションにより、既存のクラウドサービスやCI/CDツールとの連携が容易です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・クラウド・コンテナ・マイクロサービス環境への幅広い対応力 ・APM・ログ・インフラ監視を単一ダッシュボードに統合できる |
| 価格 | ホスト単位課金、無料トライアルあり、本番運用は要問い合わせ |
| 導入形態 | SaaS |
| 対応プロトコル | エージェント / API / 400以上のインテグレーション |
表6: Datadog 仕様
向いている企業: AWS・GCP・Azureを活用するクラウドネイティブな開発チームや、DevOps環境でアプリとインフラを一元的に可視化したい組織に適しています。
6. New Relic
APM(アプリケーションパフォーマンス管理)を起源とする統合オブザーバビリティプラットフォームで、アプリケーション層からインフラ層まで一気通貫での可視化が可能です。データ取り込み量に応じた従量課金モデルと無料枠の存在により、小規模チームからスケールアップまで柔軟に対応できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・アプリケーション層からインフラ層まで一気通貫のオブザーバビリティ ・無料枠の存在により小規模チームからでも導入・検証が可能 |
| 価格 | 無料枠あり、データ取り込み量に応じた従量課金 |
| 導入形態 | SaaS |
| 対応プロトコル | エージェント / OpenTelemetry / APIインテグレーション |
表7: New Relic 仕様
向いている企業: アプリケーションとインフラを同一ツールで横断的に監視したい開発・運用チームや、まず無料枠で効果を検証してから本番導入を判断したい企業に適しています。
7. Site24x7
ManageEngine(Zoho)が提供するSaaS型監視ツールで、ネットワーク・サーバー・Webサイト監視をワンプラットフォームでカバーしつつ、月額約2,500円〜という手頃な価格帯が特長です。OpManagerのSaaS版に近い操作感を持つため、ManageEngine製品を使い慣れたチームにも親しみやすい設計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・月額約2,500円〜から利用できるコストパフォーマンスの高さ ・ネットワーク・サーバー・Webサイト監視をワンプラットフォームでカバー |
| 価格 | 月額約2,500円〜 |
| 導入形態 | SaaS |
| 対応プロトコル | SNMP / エージェント / REST API |
表8: Site24x7 仕様
向いている企業: IT予算が限られた中小企業や、SaaS型でコストを抑えながらも幅広い監視項目を一元管理したい情シス担当者に適しています。
8. Auvik
ネットワーク監視に特化したSaaSツールで、ネットワークトポロジの自動検出・可視化とMSP向けのマルチテナント管理機能が強みです。複数拠点・複数顧客のネットワーク環境を一元管理する用途に最適化されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・ネットワークトポロジの自動検出・可視化に特化した専用設計 ・MSP・複数拠点管理に最適化されたマルチテナント機能 |
| 価格 | 要問い合わせ |
| 導入形態 | SaaS |
| 対応プロトコル | SNMP / NetFlow / Syslog |
表9: Auvik 仕様
向いている企業: 複数拠点・複数テナントを管理するMSPや、SaaS型でネットワーク監視に特化した専用ツールを探している企業に適しています。
3. OSS・無料型ツール(4選)
OSS・無料型はライセンスコストがかからず、カスタマイズ性の高さが最大の特長です。無料であることは品質の低さを意味するわけではなく、以下のツールはいずれもエンタープライズ規模での採用実績を持っています。導入・運用には一定の技術スキルが必要な点を踏まえたうえで検討を進めてください。
9. Zabbix
2001年に初版がリリースされ、現在160カ国以上の企業・組織に導入されているOSS監視ツールです(出典:Zabbix公式、参照2025年)。エンタープライズ級の機能をライセンスコストなしで利用できる点が最大の強みで、日本語コミュニティも活発です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・エンタープライズ級の監視機能をライセンスコストなしで利用できる ・活発な日本語コミュニティと豊富なテンプレートによる導入しやすさ |
| 価格 | OSS版無料、商用サポートは要問い合わせ |
| 導入形態 | OSS・オンプレミス |
| 対応プロトコル | SNMP / エージェント / IPMI / JMX / HTTP |
表10: Zabbix 仕様
向いている企業: 技術力のある内製チームを持つ中小〜大手企業や、ライセンスコストを抑えながら高機能な監視環境を構築したい情シス担当者に適しています。
10. Nagios Core
1999年の初版リリース以来25年以上にわたり使われ続けるOSS監視ツールで(出典:Nagios.org公式)、膨大なコミュニティプラグインエコシステムが強みです。コミュニティが提供するプラグインを組み合わせることで、ほぼあらゆる監視対象に対応できる拡張性を持ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・膨大なコミュニティプラグインによる高い拡張性 ・長年の運用実績に裏付けられた信頼性と安定性 |
| 価格 | 無料 |
| 導入形態 | OSS・オンプレミス |
| 対応プロトコル | SNMP / プラグインで拡張可 |
表11: Nagios Core 仕様
向いている企業: すでにNagiosベースの監視環境を持つ企業や、プラグインで細かくカスタマイズしたいエンジニアチームに適しています。
11. Prometheus
Cloud Native Computing Foundation(CNCF)のgradedプロジェクトとして採用されており、Kubernetesの公式監視スタックの一つです(出典:CNCF公式、2018年graduated)。PrometheusがメトリクスデータをExporterベースで収集し、Grafanaが柔軟なダッシュボードで可視化する組み合わせが、コンテナ・クラウドネイティブ環境の監視標準として定着しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・Kubernetes・Dockerとの高い親和性によるコンテナ環境への対応 ・Grafanaによる柔軟なカスタムダッシュボードの構築 |
| 価格 | 無料 |
| 導入形態 | OSS・オンプレミス/コンテナ |
| 対応プロトコル | Exporterベース / OpenMetrics / REST API |
表12: Prometheus + Grafana 仕様
向いている企業: Kubernetes・マイクロサービス環境を運用する開発・インフラチームや、可視化ダッシュボードを柔軟にカスタマイズしたいエンジニアに適しています。
12. Cacti
RRDToolをベースとしたトラフィック・パフォーマンスグラフ生成に特化したOSSツールで、SNMPによるシンプルなポーリングで帯域使用率を継続的に記録・グラフ化できます。軽量な設計のため、低スペックのサーバー環境でも安定稼働します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・SNMPによるトラフィックグラフ生成のシンプルさと導入の手軽さ ・軽量設計により低スペック環境でも安定稼働できる |
| 価格 | 無料 |
| 導入形態 | OSS・オンプレミス |
| 対応プロトコル | SNMP / ICMP |
表13: Cacti 仕様
向いている企業: トラフィック監視・帯域グラフに特化したシンプルな監視環境を構築したい企業や、既存ツールの補完としてグラフ可視化のみを追加したい場合に適しています。
4. アプライアンス型ツール(3選)
アプライアンス型は専用ハードウェアとソフトウェアが一体化した製品で、OSやミドルウェアの設定なしに導入後すぐ稼働できる点が強みです。金融・通信・製造など、高可用性が求められる業種での導入事例が多く、ハードウェア交換サイクルも含めたTCOの事前算出が選定の前提となります。なお、3製品はいずれも価格が要問い合わせとなります。
13. SolarWinds Network Performance Monitor(NPM)
大規模マルチベンダーネットワーク環境の管理に強みを持つベンダーの製品で、ネットワークパス解析と障害根本原因分析機能が特に高く備わっています。数百台以上のデバイスを抱える複雑な環境でも、問題の発生箇所を迅速に特定できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・大規模マルチベンダー環境への高い対応力と安定した運用実績 ・ネットワークパス解析と障害根本原因分析機能の充実 |
| 価格 | 要問い合わせ |
| 導入形態 | アプライアンス/オンプレミス |
| 対応プロトコル | SNMP / NetFlow / sFlow / IPFIX / WMI |
表14: SolarWinds NPM 仕様
向いている企業: 数百台以上のデバイスを持つ大規模ネットワーク環境を運用する企業や、障害発生時の根本原因分析を迅速に行いたい運用チームに適しています。
14. Cisco Catalyst Center(旧DNA Center)
Cisco機器を中心とするネットワーク環境向けの専用アプライアンス型管理・監視プラットフォームです。Cisco機器との深い統合により、ネットワーク設定の自動プロビジョニングやSD-Accessを活用したセグメント管理が可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・Cisco機器との深い統合による高度な自動化・可視化 ・ネットワーク設定の自動プロビジョニングによる運用負荷の軽減 |
| 価格 | 要問い合わせ |
| 導入形態 | アプライアンス |
| 対応プロトコル | SNMP / NetFlow / REST API / Cisco独自プロトコル |
表15: Cisco Catalyst Center 仕様
向いている企業: ネットワーク機器がCiscoで統一されている大手企業や、ネットワーク運用の自動化・SD-Access導入を検討している組織に適しています。
15. NETSCOUT nGeniusONE
ネットワークパフォーマンス管理に特化したアプライアンス製品で、パケットレベルの詳細なトラフィック解析とアプリケーション応答時間の可視化が最大の強みです。金融・通信などSLA要件が厳格な業種での導入事例が多く、通信品質の継続的なトレースが可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な強み | ・パケットレベルの精緻なトラフィック解析による詳細な障害分析 ・アプリケーション応答時間の可視化による通信品質の継続的な把握 |
| 価格 | 要問い合わせ |
| 導入形態 | アプライアンス |
| 対応プロトコル | パケットキャプチャ / NetFlow / SNMP |
表16: NETSCOUT nGeniusONE 仕様
向いている企業: 金融・通信など高可用性・通信品質が厳しく求められる業種や、パケット解析まで踏み込んだ詳細監視が必要な運用チームに適しています。
自社に合ったネットワーク監視ツールの選び方
自社に合ったネットワーク監視ツールを選ぶには、以下の4つの観点から順に絞り込むことが重要です。
- 監視対象と環境構成(オンプレミス・クラウド・ハイブリッド)で導入形態を絞る
- 初期費用・TCOを含めた予算とライセンス形態で比較する
- 運用体制と技術スキルへの適合性で選ぶ
- アラート通知・サポート・拡張性を事前に確認する
1. 監視対象の範囲と環境構成で絞り込む
最初に確認すべきは、「何を監視したいか」と「どのような環境で使うか」という2点です。監視対象がネットワーク機器のみであればエージェントレス監視に対応したツールで十分ですが、サーバーやアプリケーションまで含めて一元管理したい場合は、エージェント監視とエージェントレス監視の両方をサポートするツールが適しています。
また、オンプレミス環境のみで完結するのか、AWS・Azure・GCPなどのクラウドやハイブリッド構成も対象に含むのかによって、適切な導入形態が変わります。オンプレミス中心の環境であればオンプレミス商用型またはOSS型、クラウド・ハイブリッド環境が主体であればSaaS型が選定の出発点となります。
2. 予算・ライセンス形態で絞り込む
次に、導入コストとランニングコストの両面から検討します。確認すべき問いは「初期投資型か月額課金型か」「デバイス数・センサー数に応じた課金か、ホスト単位か」の2点です。OSS型はライセンスコストがかからない一方、導入・設定・運用を自社エンジニアが担当するため、人件費を含めた総所有コスト(TCO)で評価することをお勧めします。
SaaS型は初期費用を抑えやすい反面、監視対象が増えるにつれてサブスクリプション費用が積み上がる点も考慮が必要です。予算規模と監視対象の増加見込みを合わせて試算したうえで判断することを推奨します。
3. 社内の運用体制・技術スキルで絞り込む
ツールの選定において見落とされがちなのが、導入後の運用体制との適合性です。専任のネットワークエンジニアが社内にいる場合はOSS型のカスタマイズ性を活かせますが、情シス担当者が兼務で運用する場合はGUIで完結するオンプレミス商用型またはSaaS型が適しています。また、「CLIベースの設定でも問題ないか」「アラート通知の受け取りや初動対応を誰が担うか」といった運用フローを事前に整理しておくことで、ツール選定の基準が明確になります。
4. アラート通知・サポート体制・拡張性を確認する
最後に、導入後の運用品質に直結する3点を確認します。アラート通知チャネルについては、メール・Slack・SMS・電話など自社の運用フローに合った方式に対応しているかを確認してください。
ベンダーサポートについては、障害発生時に日本語でのサポートを受けられるか、SLAが明示されているかが判断基準となります。拡張性については、監視対象の増加や将来的なクラウド移行に際して、追加設定や上位プランへの移行が柔軟に行えるかを事前に確認しておくことで、ツールの乗り換えコストを最小化できます。
カオピーズの24時間365日ネットワーク監視サービス
ネットワーク監視ツールの導入と並行して、「運用を担う体制そのものが社内にない」「夜間・休日の障害対応に課題がある」とお感じの企業様に向けて、カオピーズでは24/365対応 のリモート監視・障害対応サービスを提供しています。ツール導入にとどまらず、運用体制の構築までを一気通貫で支援できる点が、当社サービスの特長です。
1. サービス概要と対応範囲
カオピーズの監視サービスは、アプリケーション・インフラ・ネットワークをワンストップでカバーしており、環境を問わず幅広いシステムに対応しています。具体的な対応範囲は以下のとおりです。
- クラウド環境: AWS / GCP / Azure(マルチクラウド・ハイブリッド構成を含む)
- オンプレミス環境: 物理サーバー・ネットワーク機器・基幹システム
- レガシー構成: 旧来の基幹システムや独自構成の環境にも対応可能
夜間・休日を含む24時間365日のリアルタイム検知体制により、担当者が不在の時間帯に発生した障害にも即座に対応します。これにより、IT部門の夜間対応負荷を削減しながら、事業継続性(BCP)の強化を同時に実現できます。
2. SLA・SLO・SLIの数値
カオピーズの監視サービスは、以下の数値をもとにサービス品質を定義・管理しています。
図2: カオピーズ監視サービス — SLA・SLO・SLI品質指標
カオピーズが多くの日本企業様から監視・運用のパートナーとして選ばれる背景には、12年以上にわたる日本市場での実績と、1,000件以上のプロジェクトを通じて培った運用ノウハウがあります。ベトナムIT業界最高峰のSao Khue賞を2019年から2025年まで6年連続で受賞しており、技術力と品質改善への継続的な取り組みが第三者機関によって証明されています。
まとめ
本記事では、ネットワーク監視ツールの基本的な仕組みと導入形態別の分類を整理したうえで、オンプレミス商用・SaaS・OSS・アプライアンスの4形態から計15製品を比較しました。ツール選定においては、機能の豊富さだけでなく、自社の監視対象範囲・予算・運用体制・将来的な拡張性を軸に絞り込むことが、導入後のミスマッチを防ぐうえで重要です。また、クラウド移行が進む現在においても、ネットワーク監視の重要性が低下するわけではなく、むしろオンプレミスとクラウドを横断した一元的な可視化体制の構築が求められています。ツール選定と並行して、夜間・休日の運用体制をどう確保するかも、安定稼働に向けた重要な検討課題です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無料のネットワーク監視ツールで十分ですか?
ZabbixやNagios Coreのように、無料のOSSツールでもエンタープライズ規模の監視を実現できる製品は存在します。ただし、導入・設定・運用には専門的な技術スキルが必要なため、社内にネットワークエンジニアがいない場合は商用ツールまたはSaaS型の検討をお勧めします。
Q2. SaaSとオンプレミス、どちらを選ぶべきですか?
クラウド・ハイブリッド環境が主体でIT部門のリソースが限られている場合はSaaS型、セキュリティポリシーが厳しくデータを社外に出せない場合はオンプレミス型が適しています。自社の環境構成・セキュリティ要件・運用体制の3点を整理したうえで判断することをお勧めします。
Q3. クラウド移行後もネットワーク監視ツールは必要ですか?
クラウド移行後も、ネットワーク監視ツールの必要性はむしろ高まるケースがほとんどです。自社のアプリケーション層・通信経路・オンプレミスとの連携部分はユーザー側の監視責任範囲となります。特にハイブリッド環境では、DatadogやNew Relicなどのクラウドネイティブなツールを活用してオンプレミスとクラウドを一元的に可視化する体制が重要です。
Q4. SNMPとNetFlowの違いは何ですか?
SNMPはネットワーク機器の死活監視やCPU・メモリ使用率を取得するためのプロトコルです。NetFlowはルーターやスイッチを通過するトラフィックの流量・経路・送受信元を詳細に記録するためのプロトコルです。死活・リソース監視にはSNMP、帯域使用状況やトラフィック分析にはNetFlowと、用途に応じて使い分けるのが一般的です。
Q5. ネットワーク監視ツールの導入にどのくらいの時間がかかりますか?
SaaS型では最短数日での監視開始が可能なケースもあります。オンプレミス商用型は環境構築・設定・テストを含めて数週間〜1か月程度が目安となります。OSS型は設定のカスタマイズ工数が加わるため、さらに期間が長くなる傾向があります。事前にPoC(概念実証)を実施して導入期間を見積もることをお勧めします。
参考文献
- 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS).(2025).「企業IT動向調査2025」.
https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/ - 総務省.(2025).「令和7年版情報通信白書」.
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html - ManageEngine.(2025).「OpManagerの価格 — 国内3,100ライセンス以上の実績」.
https://www.manageengine.jp/products/OpManager/pricing.html - Cloud Native Computing Foundation(CNCF).(2018).「Prometheus graduated project」.
https://www.cncf.io/projects/prometheus/ - Zabbix LLC.(2025).「Zabbix — 160カ国以上での導入実績」.
https://www.zabbix.com/pr/pr755
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