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ODCとは?請負開発との違い・メリット・向いている案件を解説
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2026.07.07

ODCとは?請負開発との違い・メリット・向いている案件を解説

ODCとは、海外に専任開発チームを構築し、自社の開発部門の延長として活用する体制です。請負開発とは、契約の考え方やチーム運営、仕様変更への対応が異なります。本記事では、ODCの基本、OutSystems Developer Cloudとの違い、向いている案件、導入時の注意点を整理し、チーム拡張・長期開発・DX推進に適した開発体制を判断できるよう解説します。

主要なポイント
1 海外専任チームを自社開発部門の延長として活用する体制がODCである
2 ODCという言葉は、開発体制とOutSystems基盤の2つの意味で使われる
3 成果物を固定するよりも、中長期の継続開発と改善に適した体制である
4 継続改善型のWebサービスやDX推進、保守開発との相性が高い
5 導入前には、目的・体制・プロセス・権限管理・KPIの整理が不可欠である

ODCとは?

ODCとは、Offshore Development Centerの略称で、海外に専任の開発チームを構築する体制を指します。一般的な外注のように案件ごとに成果物を依頼するだけでなく、企業の開発部門の延長として継続的にチームを運営する点が特徴です。このため、開発リソースの拡張だけでなく、業務理解やシステム知識を蓄積しながら中長期で開発力を高めたい企業に適しています。

海外拠点には、PM、BrSE、開発者、テスター、QAなどで構成される専任チームを置きます。チームは単発案件の作業者としてではなく、貴社の開発方針やプロダクトの優先順位を理解しながら、継続的に開発・保守・改善を担当します。

日本企業、PM・BrSE、Offshore専任チーム、Developer・Tester・QAをつなぐODC構造図
ODCは海外専任チームを自社開発部門の延長として活用する体制です。

ラボ型開発との関係

日本のオフショア開発では、ODCに近い考え方として「ラボ型開発」という表現が使われることがあります。ラボ型開発は、一定期間にわたり専任チームを確保し、仕様変更や追加開発に対応しながら開発を進める体制です。

つまり、ODCはグローバルで使われる呼び方、ラボ型開発は日本の開発委託の文脈で使われやすい呼び方と整理できます。どちらも、短期的な納品だけを目的とするのではなく、継続的にチームを育てながら開発力を高める点に共通点があります。

ODCとOutSystems 11との違い

ODCという言葉は、文脈によって意味が異なるため注意が必要です。オフショア開発で使われるODCは、海外に専任開発チームを構築するOffshore Development Centerを指します。一方、OutSystems製品の文脈では、OutSystems Developer Cloudを指す場合があります。検索意図が「開発体制」なのか「ローコード開発プラットフォーム」なのかを切り分けて理解することが重要です。

OutSystems Developer CloudとしてのODC

OutSystemsの文脈で使われるODCは、OutSystems Developer Cloudの略称です。OutSystems Developer Cloudは、Webアプリ、モバイルアプリ、業務アプリなどをローコードで開発し、クラウド上でデプロイ・運用するためのクラウドネイティブな開発プラットフォームです。一方、本記事で扱うOffshore Development CenterとしてのODCは、海外に専任開発チームを構築し、自社の開発部門の延長として活用する開発体制を指します。

OutSystems Developer Cloudでは、クラウドネイティブなアプリケーション開発を前提に、開発、デプロイ、アプリケーションのライフサイクル管理、ライブラリ管理などを一つのプラットフォーム上で扱います。つまり、OutSystems Developer CloudとしてのODCは「誰が開発するか」を決める体制ではなく、「どの基盤でアプリケーションを開発・運用するか」を示す用語です(出典:OutSystems『ODC for O11 developers』、2026年)。

OutSystems 11との違い

OutSystems 11(O11)は、OutSystemsが提供してきたローコード開発プラットフォームです。Service Studioというビジュアル開発環境を使い、アプリケーションやモジュールを作成・管理し、業務アプリやWebアプリの開発・運用に活用されます(出典:OutSystems『Service Studio Overview』)。

OutSystems Developer Cloudは、O11と比べてクラウドネイティブなアーキテクチャ、アプリケーション単位の管理、ライフサイクル管理の考え方が異なります。既存のO11環境を利用している企業では、すぐにODCへ置き換えるというよりも、既存アプリの継続運用、ODCへの移行可否、新規開発での採用範囲を分けて検討する必要があります。

オフショア開発やラボ型開発を調べている場合は、OutSystems製品のODCではなく、海外専任チームを構築するOffshore Development Centerとして理解しましょう。

比較項目 Offshore Development CenterとしてのODC OutSystems Developer CloudとしてのODC OutSystems 11
意味 海外に専任開発チームを構築する体制 OutSystemsのクラウドネイティブなローコード開発プラットフォーム OutSystemsのローコード開発・運用基盤
分類 開発体制・組織モデル 開発プラットフォーム 開発プラットフォーム
主な役割 開発リソースの拡張、長期開発、ナレッジ蓄積 クラウド上でのアプリ開発、デプロイ、ライフサイクル管理 Service Studioを使ったアプリ・モジュールの開発と運用
利用シーン オフショア開発、ラボ型開発、保守改善、DX推進 OutSystemsでの新規開発、クラウドネイティブ化、モダナイズ 既存OutSystems環境での業務アプリ開発・保守運用

表1: ODCの用語ごとの意味と利用シーン

ODCと請負契約型開発の違い

ODCと請負契約型開発は、どちらも外部の開発会社を活用する方法ですが、契約の考え方やチームの関わり方が異なります。請負契約型開発は、あらかじめ決めた要件・納期・成果物に基づいて開発を進めるのに対し、ODCは専任チームを中長期で確保し、継続的に開発・改善を進める体制です。

ODCと請負契約型開発の違い ODCと請負契約型開発を、契約の考え方、仕様変更、発注側の関与、ナレッジ蓄積の観点で比較した図 ODCと請負契約型開発の違い 「専任チームを継続活用する体制」か「成果物を完成させる契約」かで運営方法が変わる ODC 中長期で専任チームを活用 請負契約型開発 決めた成果物を納品する 契約の考え方 専任チームを継続的に活用する 契約の考え方 要件・納期・成果物を定める 仕様変更への対応 優先順位を見直しながら対応しやすい 仕様変更への対応 契約範囲外は再見積もりになりやすい 発注側の関与 バックログ管理・レビューに継続関与 発注側の関与 要件提示と成果物確認が中心 ナレッジ蓄積 同じチームに業務・システム知識が残る ナレッジ蓄積 納品後にチームが解散し知識が分散しやすい 比較
ODCは継続開発や改善を前提とした体制、請負契約型開発は要件・納期・成果物が明確な案件に向いた契約モデルです。

そのため、どちらが優れているというよりも、プロジェクトの目的や変更の多さ、社内でどこまで開発に関与したいかによって適したモデルが変わります。

IPA『情報システム・モデル取引・契約書』は、情報システム開発におけるユーザ企業とITベンダーの役割分担、各開発段階の責務、契約書ひな型を整理した資料です。請負契約型開発とODCを比較する際は、成果物、責任範囲、開発段階ごとの役割を分けて確認する必要があります(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)『情報システム・モデル取引・契約書』、2025年更新)。

1. 契約の考え方の違い

請負契約型開発では、発注時点で要件、仕様、納品物、スケジュールを明確にし、その成果物を完成させることが基本になります。ゴールが明確なプロジェクトでは進めやすい一方、途中で大きな仕様変更が発生すると、追加見積もりや納期調整が必要になる場合があります。

一方、ODCは成果物単位ではなく、専任チームを継続的に活用する考え方です。開発テーマや優先順位を見直しながら進められるため、長期的な改善や追加開発を前提とした案件に向いています。

チーム体制・役割分担の違い

請負契約型開発では、開発会社が合意した範囲に基づいて設計・開発・テストを進め、発注側は要件提示や成果物確認を中心に関わるケースが一般的です。

発注側もバックログの優先順位、仕様確認、レビュー、リリース判断などに継続的に関与します。PMやBrSEを通じて海外チームと連携しながら、外部チームを自社の開発組織の一部のように運営する点が特徴です。

2. 仕様変更への対応の違い

請負契約型開発は、要件と成果物が明確な案件に適しています。ただし、開発途中でビジネス要件や優先順位が変わる場合、当初の契約範囲から外れる変更については、費用やスケジュールの再調整が必要になることがあります。

専任チームが継続して関わるため、仕様変更や追加開発を段階的に取り込みやすくなります。特に、リリース後の改善、機能追加、運用中の課題対応など、変化を前提とした開発ではODCの柔軟性が活かされます。

3. 長期開発におけるナレッジ蓄積の違い

請負契約型開発では、プロジェクト単位でチームが組成されることが多く、納品後にチームが解散すると、業務知識やシステム理解が継続的に蓄積されにくい場合があります。

同じ専任チームが長期的に関わるため、業務フロー、既存システムの構造、開発ルール、品質基準などをチーム内に蓄積しやすくなります。これにより、保守開発や継続的な改善を進める際にも、立ち上がりの負担を抑えやすくなります。

比較項目 ODC 請負契約型開発
契約の考え方 専任チームを中長期で活用する 要件・納期・成果物を定めて開発する
向いている案件 継続開発、追加開発、DX推進、保守改善 要件が明確でスコープが固定された案件
仕様変更への対応 優先順位を見直しながら対応しやすい 契約範囲外の変更は再見積もりになりやすい
発注側の関与 バックログ管理やレビューに継続的に関与する 要件提示と成果物確認が中心になりやすい
ナレッジ蓄積 同じチームに業務・システム知識を蓄積しやすい プロジェクト終了後に知識が分散しやすい

表2: ODCと請負契約型開発の違い

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ODCが注目される背景

ODCが注目される背景には、社内採用だけでは開発需要に追いつきにくく、DXやシステム改善を継続できる外部チームを求める企業が増えていることがあります。特に、次の3つの課題を抱える企業では、ODCの活用が検討されやすくなります。

  • DX推進に必要な人材と継続開発体制を確保しにくい
  • 仕様変更や追加開発に対応できる柔軟な体制が必要になる
  • 業務・システム知識を外部チームにも蓄積したい
ODCが注目される背景 DX人材不足、仕様変更・追加開発への対応、業務・システム知識の蓄積という3つの背景からODCが注目される理由を示す図 ODCが注目される3つの背景 DX推進を継続するには、外部チームも含めた中長期の開発体制が必要 DX人材不足と 開発長期化 社内採用だけでは 継続開発に追いつきにくい 仕様変更・追加開発に 耐える体制 優先順位の変更や 段階的な改善に対応する 業務・システム知識の 継続蓄積 単発外注では残りにくい 暗黙知をチームに蓄積する ODCで中長期の専任開発チームを構築 開発リソース・柔軟性・ナレッジ蓄積を一体で補完する
ODCは、人材不足の補完だけでなく、仕様変更への対応力と業務知識の蓄積を支える開発体制として注目されています。

人件費削減だけを目的に海外へ開発を移すと、期待した成果につながらない場合があります。重要なのは、専任チームに業務理解、システム知識、開発ルールを蓄積し、中長期で保守改善や追加開発を続けられる体制として設計することです。

IPAの調査分析ディスカッション・ペーパーによると、日本企業の85.1%でDXを推進する人材が不足しています。国内採用だけで必要な人材を確保できない場合、海外の専任開発チームを組み込むODCは、DX推進に必要な開発力を補完する選択肢になります(出典:IPA『DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成』、2025年)。

1. DX人材不足と開発長期化への対応

DXは一度システムを導入して終わる取り組みではありません。業務プロセスの改善、データ連携、顧客向けアプリの改善、レガシーシステムの刷新など、開発と運用改善が継続的に発生します。

一方で、業務改革をリードする人材、クラウド・AI・データ活用に対応できる人材、開発・運用改善を支える人材は採用や育成の難易度が高い領域です。専任の海外開発チームを活用すれば、社内だけで不足しがちな開発リソースを補完しながら、中長期の改善テーマを継続しやすくなります。

2. 仕様変更・追加開発に耐えられる体制ニーズ

プロジェクトでは、企画、要件定義、開発、テスト、運用保守など、フェーズによって必要な体制が変わります。新機能開発が集中する時期には開発者を増やし、保守フェーズでは少人数で安定運用するなど、状況に応じた調整が求められます。

専任チームをベースにすれば、優先順位の変更や追加開発を段階的に取り込みやすくなります。ただし、柔軟に拡張するためには、PM、BrSE、QA、開発リーダーの役割を整理し、どのタイミングでどの体制が必要になるかを事前に設計しておくことが重要です。

3. 業務・システム知識を継続的に蓄積する必要性

単発の外注では、プロジェクト終了後にチームが解散し、業務理解やシステム知識が分散してしまうことがあります。特に、部門をまたぐ業務システムや長期運用している既存システムでは、過去の改修経緯や現場ルールを理解しているチームの存在が重要です。

同じ専任チームが継続して関わる体制であれば、仕様書に書かれていない判断基準や運用上の注意点も蓄積しやすくなります。結果として、保守改善や追加開発のたびに一から説明する負担を減らし、開発体制の安定化につなげられます。

ODCのメリット

ODCの主なメリットは、海外の専任チームを継続的に活用することで、開発スピード、ナレッジ蓄積、コスト最適化、仕様変更への対応力を高めやすい点にあります。特に、長期的に開発体制を強化したい企業にとって、ODCは単なる外注先ではなく、自社の開発力を補完するチームとして機能します。

  • 専任チームにより開発スピードを高めやすい
  • 業務知識やシステム理解を蓄積しやすい
  • 長期的なコスト最適化につながりやすい
  • 仕様変更や追加開発に対応しやすい
ODCのメリットを4つのカードで示すインフォグラフィック。開発スピードの向上、ナレッジ蓄積、コスト最適化、仕様変更・追加開発への対応
ODCの主なメリットを4つの観点で整理した図です。

1. 専任チームによる開発スピードの向上

同じ専任チームが継続的に開発へ関わるため、プロジェクトの背景や業務フロー、既存システムの構造を理解したうえで作業を進めやすくなります。毎回新しいチームに説明する必要が少なくなり、要件確認や設計判断、改修対応のスピード向上につながります。

専任チームに開発ルール、レビュー方法、タスク管理の進め方が定着することで、要件確認から改修対応までのプロセスが安定します。継続運営するチームほど、オンボーディングの繰り返しを抑えやすくなります。

2. ナレッジを蓄積しやすい

システム開発では、仕様書に書かれていない業務上の判断基準や、過去の改修経緯、運用上の注意点が重要になることがあります。ODCでは、同じチームが長期的に関わるため、こうした暗黙知をチーム内に蓄積しやすくなります。

ナレッジが蓄積されることで、保守開発や追加開発のたびに一から説明する負担を減らせます。特に、業務システム、顧客向けサービス、レガシーシステムの刷新など、長期的な改善が必要な案件では、チーム内に知識が残ることが大きな強みになります。

3. 長期的なコスト最適化がしやすい

ODCは、短期的な単価の安さだけで判断するものではありません。むしろ、長期的に見ると、チームの立ち上げや引き継ぎにかかるコストを抑えやすく、開発体制全体の効率化につながる点が重要です。

例えば、同じチームが継続して担当することで、オンボーディングの繰り返しや情報共有の手戻りを減らせます。また、PM、BrSE、QAなどの役割を適切に設計すれば、開発品質を維持しながら、必要な体制を段階的に拡張しやすくなります。

4. 仕様変更や追加開発に対応しやすい

ODCは、継続的な改善や追加開発が発生しやすいプロジェクトと相性がよい体制です。専任チームが業務やシステムを理解しているため、優先度の変更や新しい要望にも対応しやすくなります。

ODCとアジャイル開発を組み合わせると、プロダクト改善ではバックログ、スプリント、リリース判断を専任チームと共有しながら、優先度の高い機能から段階的に開発できます。要件が変化する案件では、固定された成果物だけでなく、継続改善できる開発体制を確保します。

ODCのデメリット

ODCは長期開発に有効な体制ですが、導入設計が不十分なまま始めると、開発停滞、認識ズレ、品質低下、情報漏えいなどのリスクにつながります。単に海外チームを用意するだけではなく、責任範囲、コミュニケーション、品質基準、セキュリティルールを明確にしておく必要があります。

  • 管理責任が曖昧になり、開発が停滞するリスクがある
  • 認識ズレが品質問題や手戻りにつながるリスクがある
  • 品質低下・情報漏えいなどのリスクが高まる
  • 短期・小規模案件では立ち上げコストが効果を上回る場合がある
ODCのデメリットと主なリスク ODC導入時に発生しやすい管理責任、認識ズレ、品質・セキュリティ、立ち上げコストのリスクを整理した図 ODC導入で注意すべき4つのリスク 専任チームを用意するだけではなく、運営設計・品質基準・セキュリティ管理が重要 ODC 海外専任チーム 1 管理責任の曖昧化 優先順位・承認者・品質確認が 不明確だと開発が停滞する 2 認識ズレ 言語・文化・時差の違いで 品質問題や手戻りが起きる 3 品質低下・情報漏えい レビュー・権限管理が弱いと 不具合や不正アクセスを招く 4 立ち上げコスト 短期・小規模案件では 準備負担が効果を上回る

ODCは長期開発に有効ですが、管理責任・認識ズレ・品質・セキュリティ・立ち上げコストのリスク設計が欠かせません。

1. 管理責任が曖昧になり、開発が停滞するリスク

専任チームを確保しても、誰が優先順位を決めるのか、誰が仕様を承認するのか、誰が品質を最終確認するのかが曖昧なままだと、開発は前に進みにくくなります。確認待ちが増えたり、タスクの順番が頻繁に変わったりすると、チームの生産性も下がります。

このリスクを抑えるには、PM、BrSE、開発リーダー、QAの役割を明確にし、意思決定フローと報告ルールを最初に決めておく必要があります。チーム構成だけでなく、誰が何を判断するかまで設計することが重要です。

2. 認識ズレが品質問題・手戻りにつながるリスク

海外拠点のチームと連携する場合、言語、文化、時差、業務理解の違いによって、要件の解釈にズレが生じることがあります。特に、要件が口頭説明だけで進むと、後工程で「想定していた仕様と違う」という問題が発生しやすくなります。

要件定義書、仕様書、定例会議、タスク管理ツール、BrSEによる確認フローを整えることで、日本側と海外側の認識差を早期に発見できます。曖昧な依頼を減らし、レビューのタイミングを固定することが、品質問題や手戻りの抑制につながります。

3. 品質低下・情報漏えいが発生するリスク

外部の海外チームがソースコード、顧客データ、開発環境、クラウド環境にアクセスするため、品質管理やセキュリティ管理が曖昧なままだと、品質のばらつき、リリース後の不具合、情報漏えい、不正アクセスのリスクが高まります。

コードレビュー、テスト方針、不具合管理、リリース承認、NDA、アカウント管理、ログ管理、VPN、IP制限、権限付与のルールを導入前に整理しておく必要があります。特に本番環境や顧客データへのアクセスは必要最小限に制限し、誰がいつ何にアクセスしたかを追跡できる状態にしておくことが重要です。

IPA『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版』は、外部委託先へ重要情報を提供する企業に対し、委託先の情報セキュリティ対策まで確認することを求めています。開発委託先のセキュリティ対策、アクセス権限、情報管理ルールを導入前に確認することは、ODC運営でも欠かせません(出典:IPA『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版』、2026年)。

4. 立ち上げコストが費用対効果を下げるリスク

数週間で完了する小規模改修や、要件・成果物が明確な単発案件では、チーム立ち上げ、オンボーディング、運営ルール整備にかかる負担が大きくなり、費用対効果が合わない場合があります。

短期でゴールが明確な案件であれば、請負契約型開発のほうが適しているケースもあります。一方で、継続的な機能追加、保守改善、DX推進、プロダクト開発など、長期的に開発リソースが必要な場合は、ODCのメリットを活かしやすくなります。

リスク 主な対策
管理責任が曖昧になり、開発が停滞する PM、BrSE、QA、開発リーダーの役割と意思決定フローを明確にする
認識ズレが品質問題や手戻りにつながる 要件のドキュメント化、定例会議、タスク管理ツール、BrSEによる確認を行う
品質低下・情報漏えいが発生する コードレビュー、テスト方針、権限管理、NDA、アクセス制御を事前に設計する
短期・小規模案件では立ち上げコストが重くなる 案件規模や期間を確認し、請負開発とODCのどちらが適しているかを判断する

表3: ODC導入時に起こりやすいリスクと主な対策

ODCに向いているプロジェクト

ODCを適用しやすいのは、単発で納品して終わる案件ではなく、同じチームが継続的に関わることで価値が高まるプロジェクトです。特に、追加開発が続くプロダクト、部門横断の業務システム、既存システムの刷新、開発バックログの消化が必要な案件では、専任チームの強みを活かしやすくなります。

  • Webサービス・SaaS・モバイルアプリの継続改善
  • 部門横断で進めるDX・業務システム開発
  • レガシーシステムの刷新・保守開発
  • 開発バックログを消化しながら体制を拡張する案件
判断軸 ODCに向いている案件 ODCに向いていない可能性がある案件
開発期間 中長期で継続的に開発する 数週間〜数か月で完了する単発案件
仕様変更 追加開発や優先順位変更が発生しやすい 要件・成果物・納期が明確に固定されている
ナレッジ 業務知識やシステム理解を蓄積したい 納品後の継続的な改善が少ない
発注側の関与 バックログ管理やレビューに継続的に関与できる 成果物だけを受け取りたい
代表例 プロダクト改善、DX推進、保守開発、レガシー刷新、開発バックログ消化 小規模改修、短期キャンペーンサイト、単発の画面制作

表4: ODCに向いている案件の判断軸

1. Webサービス・SaaS・モバイルアプリの継続改善

Webサービス、SaaS、モバイルアプリ、顧客向けポータルでは、リリース後もUI/UX改善、新機能追加、不具合修正、パフォーマンス改善が継続的に発生します。ユーザーの反応や事業方針に合わせて優先順位が変わるため、固定スコープの単発開発だけでは対応しにくい場合があります。

専任チームが継続して関われば、プロダクトの背景、ユーザー課題、過去の改善履歴を理解したうえで開発を進められます。アジャイル開発と組み合わせることで、バックログを共有しながら優先度の高い機能から段階的にリリースしやすくなります。

2. 部門横断で進めるDX・業務システム開発

営業管理、ワークフロー、在庫管理、顧客管理、データ連携、社内ポータルなどの業務システムは、導入後も部門ごとの要望や業務変更に合わせて改善が必要になります。複数部門が関わるほど、業務理解と調整の難易度も高くなります。

海外専任チームを活用する場合でも、社内側が業務方針や優先順位を示し、PM・BrSEが要件を整理することで、段階的な改善を進めやすくなります。部門をまたぐシステムや複数システムとの連携が必要な案件では、長期的に知識を蓄積できる体制が重要です。

3. レガシーシステムの刷新・保守開発

既存システムの保守開発やレガシーシステム刷新では、古い仕様、複雑な業務ロジック、十分に整備されていないドキュメントに対応しなければならないことがあります。短期間でチームが入れ替わる体制では、システム理解に時間がかかりやすく、改修のたびに確認負担が大きくなります。

同じチームが長期的に関わることで、既存コード、業務ルール、過去の改修履歴を理解しながら対応できます。すべてを一度に刷新するのではなく、保守を続けながら段階的にモダナイズしたい場合にも、ODCは検討しやすい体制です。

4. 開発バックログを消化しながら体制を拡張する案件

国内採用だけでは開発リソースが不足している、未着手のバックログが積み上がっている、複数プロジェクトを並行して進めたいといった場合は、専任チームを外部に構築することで、自社の開発部門を拡張するように体制を整えられます。

ただし、最初から大規模チームで始めるよりも、小規模なチームで開発プロセス、業務理解、品質レビューを安定させてから拡張するほうが運営しやすくなります。長期的に開発力を高めたい企業は、初期体制、役割分担、拡張タイミングを分けて設計することが重要です。

ODCを導入する前に確認すべきポイント

ODCを導入する前には、開発目的、チーム体制、開発プロセス、セキュリティ、評価基準を整理しておくことが重要です。専任チームを中長期で活用する体制のため、導入前の設計が不十分だと、コミュニケーションのズレや品質管理の不安定さにつながる可能性があります。

  • 開発目的・スコープを整理する
  • PM・BrSE・QAの体制を確認する
  • 開発プロセスを事前に設計する
  • セキュリティ・権限管理ルールを決める
  • KPI・評価基準を明確にする
ODC導入前チェックリスト。開発目的・スコープ、PM・BrSE・QA体制、開発プロセス、セキュリティ・権限管理、KPI・評価基準の5項目
ODC導入前に確認すべき項目を整理したチェックリストです。

1. 開発目的・スコープを整理する

まず、ODCを導入する目的を明確にする必要があります。単に開発人数を増やしたいのか、保守開発を安定させたいのか、プロダクト改善を継続したいのか、DX推進のために中長期の開発体制を作りたいのかによって、必要なチーム構成や進め方は変わります。

請負開発のようにすべての仕様を最初から固定する必要はありません。ただし、初期段階で対応する業務範囲、対象システム、優先度の高い開発テーマを整理しておくことで、適切なチーム設計がしやすくなります。

2. PM・BrSE・QAの体制を確認する

ODCは、開発者だけを集めれば成立するものではありません。プロジェクト全体を管理するPM、日本側と海外側の認識をつなぐBrSE、品質を確認するQAやテスターなど、役割ごとの体制設計が重要です。

特に、海外チームと連携する場合は、要件の伝達、仕様確認、進捗管理、品質レビューを誰が担当するのかを明確にしておく必要があります。PM・BrSE・QAの体制が整っていれば、コミュニケーションのズレや品質のばらつきを抑えやすくなります。

3. 開発プロセスを事前に設計する

ODCでは、プロジェクトの性質に合わせて開発プロセスを設計することが重要です。要件が明確で、納期や成果物を管理しやすい案件であればウォーターフォール開発、継続的な改善や仕様変更が多い案件であればアジャイル開発を採用するなど、目的に応じた進め方を選ぶ必要があります。

導入前には、アジャイル ウォーターフォール 違いを理解し、自社の開発目的に合う進め方を決めておくことが大切です。スプリント単位で進めるのか、要件定義からテストまでフェーズを分けて進めるのか、レビューやリリース判断をどのタイミングで行うのかを事前に整理しておくと、ODCチームとの連携がスムーズになります。

4. セキュリティ・権限管理ルールを決める

ODCでは、外部の海外チームがソースコード、開発環境、テスト環境、場合によっては業務データにアクセスすることがあります。そのため、セキュリティと権限管理のルールは導入前に整理しておく必要があります。

ODCの権限管理では、NDA、アカウント管理、アクセス権限、ログ管理、VPN、IP制限、データ取扱ルールを導入前に定義します。本番環境や顧客データへのアクセスは必要最小限に制限し、誰がいつ何にアクセスしたかを追跡できる状態にします。

IPA『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版』は、委託先の不備による漏えいや改ざんであっても、委託元が管理責任を問われる可能性があると説明しています。ODC導入時には、委託先のセキュリティ対策、アクセス権限、ログ管理、データ取扱ルールを確認する必要があります(出典:IPA『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版』、2026年)。

5. KPI・評価基準を明確にする

ODCの成果を評価するには、稼働時間や人数だけでなく、開発目的に合ったKPIを設定することが重要です。例えば、完了タスク数、リードタイム、不具合率、リリース頻度、対応スピード、チームの安定性などが評価指標になります。

ODCのKPIは、開発目的ごとに分けて設計します。プロダクト改善ではリリース頻度と改善スピード、保守開発では不具合対応時間と安定運用、DX推進では業務改善への貢献度を評価軸にできます。

確認項目 導入前に確認すべき内容
開発目的・スコープ ODCで解決したい課題、対象システム、初期の開発範囲を整理する
PM・BrSE・QA体制 進捗管理、要件伝達、品質確認を担当する役割を明確にする
開発プロセス ウォーターフォール開発アジャイル開発のどちらが適しているかを判断する
セキュリティ・権限管理 NDA、アクセス権限、ログ管理、データ取り扱いルールを決める
KPI・評価基準 開発目的に応じて、品質・スピード・安定性などの指標を設定する

表5: ODC導入前の確認項目

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まとめ

ODCとは、海外に専任開発チームを構築し、自社の開発部門の延長として活用する体制です。請負開発とは異なり、継続的な開発・保守・改善を進めながら、業務知識やシステム理解をチーム内に蓄積しやすい点が特徴です。

特に、継続開発、保守改善、DX推進のように中長期で開発体制を強化したい場合、ODCは有効な選択肢になります。一方で、短期・小規模案件では請負開発のほうが適する場合もあるため、導入前には開発目的、チーム体制、開発プロセス、セキュリティ、KPIを整理することが重要です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. ODCは何名程度から始められますか?

ODCは、大規模なチームから始める必要はありません。まずはPM、BrSE、開発者、QAなどを含む小規模な専任チームから開始し、業務理解や開発プロセスが安定してから段階的に拡張する方法もあります。初期段階では、人数よりも役割分担と管理体制を明確にすることが重要です。

Q2. ODCの立ち上げにはどのくらいの期間が必要ですか?

ODCの立ち上げ期間は、必要な職種、技術スタック、チーム規模、要件の明確さによって変わります。一般的には、候補者の選定、体制設計、開発環境の準備、セキュリティルールの確認、オンボーディングを行うため、事前準備の期間を見込んでおく必要があります。特に初期のオンボーディングを丁寧に行うことで、その後の開発効率が安定しやすくなります。

Q3. ODC導入後、社内チームはどのように関わるべきですか?

ODCを導入しても、すべてを海外チームに任せきりにするのではなく、社内チームが開発方針、優先順位、仕様判断、レビューに継続的に関わることが重要です。社内側がプロダクトや業務の方向性を示し、ODC側が開発・改善を担うことで、外部チームを自社開発部門の延長として活用しやすくなります。

Q4. ODCに向いているベンダーはどのように選べばよいですか?

ODCベンダーを選ぶ際は、PM・BrSEの体制、開発実績、品質管理、セキュリティ対応、チーム拡張の柔軟性を確認します。長期運営を前提とする場合は、同じ専任チームを継続できるか、ドキュメント化とナレッジ共有の仕組みがあるかも評価対象になります。

Q5. ODCで失敗しやすいケースはありますか?

ODCで失敗しやすいのは、目的が曖昧なままチームを立ち上げるケースです。たとえば、誰が優先順位を決めるのか、どの範囲をODCに任せるのか、品質をどう評価するのかが不明確だと、期待する成果につながりにくくなります。導入前に、目的、体制、プロセス、評価基準を整理しておくことが重要です。

参考文献

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    https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/discussion-paper/dx2025_digital_talent_ai_era.html
  5. 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA).(2026). 「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」.
    https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html

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